Bob Dylan “The 30th Anniversary Concert Celebration”
ディランのデビュー30周年を記念して92年10月にNYのマディソン・スクエア・ガーデンで行われたトリビュート・ライヴの記録だ。
ディランにゆかりの深いアーティストや、影響を受けたアーティストたちがディランの楽曲を披露していく構成で、ここには21組のアーティストの演奏が収録されている。大トリとしてディラン本人も出演している。
当時はニール・ヤングの「見張り塔からずっと」が凄いと評判になったものだ。たしかにこんな空襲警報と絨毯爆撃みたいなギターを弾いているのは彼だけで、当時流行の轟音ギター・ブームに距離感が近いのが彼だけだったこともあるだろう。ちょっと歌はヘロヘロだけど、この日のオールド・ブラックはたしかに元気いっぱいでいい音を鳴らしている。
ジョニー・キャッシュとジューンの夫婦デュエットによる「悲しきベイブ」は彼らの持ち歌なので完成度が高いのは当然だけど、ジョニーがクールに歌っているのに対して、ジューンが怒り狂ったおかみさんみたいな歌い方なのが面白い。
わたしが特に気に入ったのはクリッシー・ハインドの「アイ・シャル・ビー・リリースト」とウィリー・ネルソンによる「ホワット・ワズ・イット・ユー・ウォンテッド」。2人の声のインパクトにはハッとさせられるほどだった。
ロジャー・マッギンとトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズによる「ミスター・タンブリンマン」は、演奏もコーラスもバーズの再現度がなかなかのもので嬉しくなった。
トム・ペティによる2曲「ライセンス・トゥ・キル」「雨の日の女」もなかなかいい。
ロジャー・マッギンやトム・ペティ、ニール・ヤング、ジョージ・ハリスンなどが1コーラスずつ歌ってつなげる「マイ・バック・ページ」ではディラン本人もヴォーカルを取るけど、あのバーズのアレンジでディランが歌っているというのがなんだか嬉しかったな。
↓クリッシー・ハインドによる 「アイ・シャル・ビー・リリースト(I Shall Be Released)」
↓ この日のハイライトとも言える、ニール・ヤングの「見張り塔からずっと(All Along the Watchtower)」。
↓ ロジャー・マッギン、トム・ペティ、ニール・ヤング、エリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、そしてディランによる「マイ・バック・ページズ(My Back Pages)」