アレサ・フランクリン【名曲ベストテン】ARETHA FRANKLIN Best 10 Songs

Aretha Franklin Atlantic Albums Collection

米テネシー州メンフィスに生まれ、デトロイトで育ったアレサ・フランクリンは、牧師の父とゴスペル歌手の母を持ち、アレサ自身も父の教会で幼い頃からゴスペルを歌っていた。

アレサ・フランクリンは、R&B~ソウルの歴史上、最も偉大な女性シンガーだったと言っても過言ではないだろう。生粋のゴスペル歌手だった彼女は、ゴスペルの歴史をR&Bに繋げたことで〈ソウル・ミュージック〉をより懐の深い、豊かでディープな音楽に仕上げたと言える。

彼女は〈レディ・ソウル〉〈クイーン・オブ・ソウル〉などの異名を持つ、つまりはソウル界の初代女王だった。その異名が付いた20代後半の頃にはすでに貫禄十分だったが、その迫力と共に見せる少女のような奔放な可愛らしさもまた魅力的な女王でもあった。

2018年に76歳でアレサはこの世を去ったが、この女王の影響を受け継ぐ数えきれないほどのソウル・シンガーたちが今も世界中で歌い続けている。
アレサの歌声はそのすべての原点であり、この先も女王の歌声の記録は、永遠に聴き継がれるに違いない。

以下は、わたしが愛するアレサ・フランクリンの至極の名曲ベストテンです。

第10位 愛する貴方を失くして(1968)
(Sweet Sweet Baby) Since You’ve Been Gone

アレサ・フランクリンの代表作として知られる名盤『レディ・ソウル(Lady Soul)』からのシングルで、全米5位の大ヒットとなった曲。アレサと夫のテッド・ホワイトの共作だ。

[Sweet Sweet Baby] Since You've Been Gone

第9位 ドント・プレイ・ザット・ソング(1970)
Don’t Play That Song(You Lied)

ベン・E・キングが1962年に発表し全米11位となったヒット曲のカバー。キレのいい歌唱、R&Bの王道を行くような完璧なアレンジのアレサ・バージョンも全米11位、全英13位のヒットとなり、ミリオンセラーを記録した。

Don't Play That Song (with The Dixie Flyers) (2018 Mono Remaster)

第8位 貴方だけを愛して(1967)
I Never Loved a Man (The Way I Love You)

アトランティックに移籍し、本格的なソウル歌手としての再デビューとなった第1弾シングルで、全米9位、R&Bチャート1位のミリオンセラーとなった大ヒット曲。ゴスペル・フィーリングが素晴らしい、まさにアレサの本領発揮となった原点だ。

I Never Loved a Man (The Way I Love You) (Stereo)

第7位 アンティル・ユー・カム・バック・トゥ・ミー(1973)
Until You Come Back to Me (That’s What I’m Gonna Do)

スティーヴィー・ワンダーの作で、全米3位のミリオンセラーとなった。
ディープでパワフルなイメージの60年代のソウルとはまた別の、都会的で柔らかな質感のサウンドが特長の70年代ソウルでもアレサのヴォーカルは見事にハマっている。

Until You Come Back to Me (That's What I'm Gonna Do)

第6位 シンク(1968)
Think

アトランティックからの3枚目のアルバム『アレサ・ナウ(Aretha Now)』の先行シングルで、この曲もアレサと夫テッドの共作。全米7位のヒットとなった。
女性解放を歌うフェミニズム的な解釈でも知られ、1980年の映画『ブルース・ブラザーズ』でもアレサ・フランクリン本人が出演して歌っている。

Aretha Franklin – Think (Official Audio)

第5位 エンジェル(1973)
Angel

73年のアルバム『ヘイ!ナウ・ヘイ! Hey Now Hey (The Other Side of the Sky)』からのシングルで、全米20位、R&Bチャート1位のヒットとなった。
アレサの妹、キャロリン・フランクリンとソニー・サンダースの共作。世にも美しい名バラードだ。

Angel

第4位 ロック・ステディ(1971)
Rock Steady

作詞・作曲もアレサ自身による作で、全米9位のヒットとなった。
力強いベースが印象的な、その後のディスコ・ミュージックの源流とも言えるような、ファンクの要素が強い名曲である。

Rock Steady (2021 Remaster)

第3位 ナチュラル・ウーマン(1968)
(You Make Me Feel Like) A Natural Woman

名盤『レディ・ソウル』からのシングルで、キャロル・キングとジェリー・ゴフィンの夫妻によって書かれた曲。
キャロル・キングの2015年度ケネディ・センター名誉賞授賞式でアレサがサプライズで登場し、この曲を歌ったのは感動的なシーンだった。客席のオバマ大統領よりも圧倒的なオーラで、やはり〈ソウルの女王〉は合衆国大統領よりも偉大なのだなと納得したものだった。

Aretha Franklin – (You Make Me Feel Like) A Natural Woman (Official Audio)

第2位 チェイン・オブ・フールズ(1967)
Chain of Fools

『レディ・ソウル』のレコードに針を下した2秒後に流れるアレサの「チェ・チェイン・チェ~~イン」の声だけでもう鳥肌が立つこの曲は、全米2位の大ヒットとなった代表曲だ。
当時25歳ながら、すでに極妻の女王の貫禄十分なアレサの唯一無比の魅力が全開だ。

Chain of Fools (2021 Remaster)

第1位 リスペクト(1965)
Respect

オーティス・レディング作で、彼が1965年に発表して全米35位となったシングルのカバー。アレサ版は彼女にとって初の全米1位、全英10位と、オリジナル以上の大ヒットとなった。

2021年に17年振りに実施された米ローリング・ストーン誌「オールタイム・グレイテスト・ソング500」で、前回のボブ・ディラン「ライク・ア・ローリング・ストーン」に替わり、第1位に選出されている。

Respect

入門用にアレサ・フランクリンのアルバムを最初に聴くなら、『Definitive Soul』がお薦め。ここで選んだ10曲を含め、アレサの代表曲を網羅した30曲入りベストです。

(Goro)