エアロスミス/トレイン・ケプト・ア・ローリン (1974)【カバーの快楽】

Get Your Wings [12 inch Analog]

【カバーの快楽】
Aerosmith
Train Kept a Rollin’ (1974)

全然売れなかった2ndアルバム『飛べ!エアロスミス(Get Your Wings)』収録曲。いろいろな意味で、エアロスミスの原点ではないかと思える曲だ。

元々はジャンプ・ブルースの先駆者、タイニー・ブラッドショウが1951年に発表したシングルが原曲だ。それを1956年にメンフィスのジョニー・バーネット・トリオがカバーしてシングル発売した。

しかしこの曲を一気に有名にしたのは、1965年にヤードバーズがカバーしたことによる。

ヤードバーズ版のあの印象的なリフは、ジョニー・バーネット版には入っていない。しかし実はそのバーネット版のシングルB面「ハニー・ハッシュ」に使われているギターリフがあのリフにそっくりなのだ。

ヤードバーズのジェフ・ベックがこのシングルをスタジオに持ってきたのがカバーのきっかけなのだそうだけれども、このシングルのA面の「トレイン・ケプト・ア・ローリン」をカバーするために、B面の「ハニー・ハッシュ」のリフを使ったと思われる。

1965年にヤードバーズが発表したバージョンは、後のハード・ロックの原点と言えそうな、画期的なアレンジだった。もちろんレッド・ツェッペリンの原点でもあり、彼らに強い影響を受けたエアロスミスにとっても原点であるはずだ。

エアロ版は、前半はゆっくりとした16ビートのブルース・ロック的なアレンジで、後半はテンポアップしてヤードバーズのバージョンへと変わる、2種類のカバーを合わせたような構成だ。

まあ、鳥肌が立つぐらいカッコいい。

わたしよりひと周りぐらり年下の世代からは、エアロスミスといえば『アルマゲドン』の「ミス・ア・シング」らしい。以前、このブログのコメントにも「エアロスミスにミス・ア・シングよりいい曲があるなんて知りませんでした」という素敵なコメントが届いたこともある。

若者よ、アルマゲドンもいいけれども、70年代のエアロスミスのカッコ良さもぜひ知っといてくれ。

↓ 1965年リリースのヤードバーズのバージョン。

↓タイニー・ブラッドショウによるオリジナル・バージョン

(Goro)