驚きと絶賛と感涙で迎えられた意外すぎる救世主 〜フー・ファイターズ『フー・ファイターズ』(1995)【最強ロック名盤500】#48

Foo Fighters
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【最強ロック名盤500】#48
Foo Fighters
“Foo Fighters” (1995)

「おい、マジか!」とわたしは思ったものだ。
「おまえ、曲が書けるのか!」とわたしは思ったものだった。

ニルヴァーナの第三の男だ。
まさか、あいつが。。

そもそも、好きなバンドが解散して、そのメンバーが新しいバンドを組んだからといって、それがドラマーの場合、そこまで期待するだろうか?

本当に偏見みたいなもので申し訳ないけど、わたしはとくに期待もせず、急いで聴こうとも思わなかったが、音楽メディアではまるでキリストの再降臨みたいな騒ぎで、絶賛の評ばかりが聞こえてくるので、慌てて1stアルバム『フー・ファイターズ』を購入したものだった。

 1 ジス・イズ・ア・コール
 2 アイル・スティック・アラウンド
 3 ビッグ・ミー
 4 アローン・アンド・イージー・ターゲット
 5 グッド・グリーフ
 6 フローティ
 7 ウィーニー・ビーニー
 8 オー、ジョージ
 9 フォー・オール・ザ・カウズ
10 エックス・スタティック
11 ウォーターシェッド
12 エグゾウステッド

カート・コバーンの死後、デイヴ・グロールは鬱病のような状態で、何もやる気になれなかったという。

しかし、その状態から抜け出そうと、デイヴはシアトルの自宅近くのレコーディングスタジオを6日間予約し、新たに書いた3曲(1〜3)と、ニルヴァーナ在籍時代から書き溜めてあった曲(4〜12)を、全パートを彼がひとりで演奏して、デモテープを録音した。

このデモのカセットテープを彼は100本作り、感想を聞きたくて、親しい友人に配ったという。

パール・ジャムのエディ・ヴェダーが自身のラジオ番組でそのカセットから2曲をオンエアすると音楽業界でも評判になり、最終的にキャピトルレコードと契約した。デモテープはあらためて録音し直すこともなく、曲順もそのままで、フー・ファイターズの1stアルバムとして、1995年7月にリリースされた。バンドのメンバーは、その後で集められた。

史上最高のアルバムにビートルズの『サージェント・ペパーズ』を挙げ、一方でパンクやハードコアを好み、カート・コバーンの才能に畏怖の念を抱いていたというデイヴ・グロールの音楽性は、それらがそっくりそのままフー・ファイターズの楽曲に見事なまでに結実している。

収録曲1,2は「おまえはカートか!」と嬉しさのあまり思わずツッコんでしまったほどニルヴァーナを踏襲したものだし、デイヴが「1番好きな曲」と語る3は、まんまビートルズだ。

きっと誰もが、ニルヴァーナのテイストとスピリットを継承したものを無理を承知で期待したと思うが、もうまさにその期待通りか、それ以上のものになっていた。わたしはこの驚くべき傑作に感動し、歓喜した。カートがこの世を去ってから、いちばん嬉しい出来事だった。

アルバムは全米23位、全英3位、その他各国のチャートでも上位に昇るヒットとなり、商業的にも成功した。

デイヴ・グロールのフー・ファイターズは、ニルヴァーナ消滅以降のさまよえるオルタナロックファンたちに、驚きと絶賛と感涙をもって、まさに救世主のように迎えられたのだった。

いやホント、大げさでなく、まさにそんな感じだったのだよ。

↓ 1stシングルとなった「ディス・イズ・ア・コール」。米オルタナチャート2位、全英チャート5位のヒットとなった。

Foo Fighters – This Is A Call (Live on Letterman)

↓ 2ndシングル「アイル・スティック・アラウンド」。米オルタナチャート8位、全英チャート18位。わたしはこの曲が一番好きだな。

Foo Fighters – I'll Stick Around (Official HD Video)

(Goro)