ショッキング・ブルー/ヴィーナス (1969)【’60s Rock Masterpiece】

VENUS

【60年代ロックの名曲】
Shocking Blue
Venus (1969)

ショッキング・ブルーは1967年にデビューしたオランダのバンドだ。
1969年7月にリリースした5枚目のシングル「ヴィーナス」がアメリカ、カナダ、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ベルギーで1位、日本でもオリコン2位となる世界的ヒットとなった。

ショッキング・ブルーはその後もヒットを連発し、「悲しき鉄道員」もオリコン2位、他に日本のみのシングルヒットもあり、日本では特に愛されたバンドだった。
71年には来日公演を行い、その模様は彼らの唯一のライヴ盤『ライヴ・イン・ジャパン』のタイトルでリリースされている。

1986年にはイギリスのガールズ・グループ、バナナラマがこの曲をカバーし、またしても全米1位の大ヒットとなった。バナナラマ版は日本でもヒットし、すぐにアイドル時代の長山洋子が日本語詞でカバーし、オリコン10位にランクインした。

それにしても、ショッキング・ブルーのオリジナルは歌メロもさることながら、この独特のグルーヴがキモだと思うのだけれども、バナナラマや長山洋子のカバーは電子化のせいでそのキモの部分は見事に失われてしまっている。やはり感情もなければ興奮もしない「機械」ではあの4人の人間の合奏が生み出す独特の「揺らぎ」と「微妙な間」によるグルーヴは生まれないだろう。

それでも全米1位ということは多くの人に受け入れられたということだろうし、今の時代はボカロにAIと、音楽の電子化はさらに進められ、受け入れられている。

残念ながら、わたしは電子化されたヴィーナスにはまったく魅了を感じられない。オリジナルは最高にカッコいいけれども、バナナラマの方は全然つまらない。わたしにとって音楽というのはやはり人間の合奏によって生まれるグルーヴがキモなのだ。

きっと音楽やダンスの起源は求愛行動や性愛のメタファーなんだろうと思う。人間たちの合奏で生まれる音楽にはどこか深層にそれが残っている気がするが、機械にはもちろんそんな色っぽいものなど カケラもないのである。だからわたしの心を揺り動かさないのだろう。

↓ 世界的ヒットとなったショッキング・ブルーのオリジナル。

Shocking Blue – Venus (Live @ Top Of The Pops 1970) HD

↓ 1986年に全米1位となったバナナラマの電子化バージョン。

Bananarama – Venus (Official Video)

↓ オリコン10位のヒットとなった、長山洋子の日本語バージョン。

ヴィーナス

(Goro)