The Animals
The House of the Rising Sun (1964)
すごく久しぶりに聴いたけれども、やっぱりどう聴いても23歳の可愛らしい白人青年が歌っているようには聴こえない。
さすがのミック・ジャガーも、当時はこのエリック・バードンの真っ黒なヴォーカルにはビビったのではないか。
アニマルズが1964年6月にリリースした2枚目のシングルで、全英1位、全米1位、そして日本でも当時のレコード特信チャート5位と、世界的なヒットとなった代表曲だ。
「朝日のあたる家」はアニマルズのオリジナルではなくて、もともと作者不詳のトラッドソング(伝承曲)である。
「朝日のあたる家」とはニューオーリンズの娼館のことを指している。
原曲ではそこで育った女性が主人公だが、アニマルズ版は主人公を男性に変えているので、「男娼館」ということになる(のか?)。
悲惨な境遇で育った少年は町を出たが、やがて罪を犯して刑務所へ入るためにニューオーリンズに戻ってくる、というなんだか、陰惨で哀しい内容らしい。
ボブ・ディランの1stアルバムにも弾き語りのスタイルで収録されているが、わたしは先にディランのバージョンを聴いてから後でアニマルズを聴いたので、「あ、これってこんないい曲だったのか!」と驚いたものだ。決してディランをディスってるわけではない。他の人のバージョンで聴いてその良さに初めて気づく、というのはディランあるあるなのだ。
ディラン自身もこのアニマルズ・バージョンにショックを受けたようで、当時の弾き語りスタイルからバンド・スタイルへの路線変更のきっかけのひとつと言われている。
考えてみると、この時代の「ロックンロールからロックへ」の急速な進化は、「ブリティッシュ・ビートvsボブ・ディラン」という構図のせめぎ合いが、大きな牽引力となったのかもしれない。
↓ 世界的ヒットとなったアニマルズのバージョン。
↓ ボブ・ディランの1stアルバム『ボブ・ディラン』に収録されたバージョン。
(Goro)