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Little Richard
“Here’s Little Richard” (1957)
“キング・オブ・ロックンロール“ことリトル・リチャードの、1957年3月にリリースされた1stアルバムだ。
6曲のヒット・シングルと6曲の新曲で構成された、12曲で28分30秒という、お手本のようなスピード感のロックンロール・アルバムだ。
【収録曲】
SIDE A
1 トゥッティ・フルッティ (全米18位)
2 トゥルー・ファイン・ママ
3 キャント・ビリーヴ・ユー・ワナ・リーヴ
4 レディ・テディ (R&Bチャート8位)
5 ベイビー
6 スリッピン・アンド・スライディン (R&Bチャート2位)
SIDE B
1 のっぽのサリー (全米6位)
2 ミス・アン (R&Bチャート6位)
3 オー・ホワイ?
4 リップ・イット・アップ (全米17位)
5 ジェニ・ジェニ (全米10位)
6 シーズ・ガット・イット (R&Bチャート9位)
ニール・ヤングはその自伝の中で、『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』を手がけた名プロデューサー、デヴィッド・ブリッグスが少年時代にリトル・リチャードのステージを観に行ったときの、人生が変わるほどの衝撃を受けた思い出を引用している。
これは、これまでわたしが目にした、リトル・リチャードのみならず、ロックンロールという音楽について語られた言葉の中で、最も共感したもののひとつだ。このブリッグスの名言中の名言を決して忘れないように、わたしのこの穏健で安全でクソみたいに無害なブログに掲げておこう。
金色のスーツを着たニガーが、髪をおっ立ててソルトレイクシティのステージにあらわれ、飛び跳ねながらピアノを叩き、完全にイカれていくのを見ているうちに、「オレもあんなふうになりたい。オレの望みはそれだ」となったということだ。今でも彼は恐ろしい男だ。ホンモノだ。ロックンロールは穏健でも安全でもないし、金とかとはまるっきり縁が無い。風や雨や火のようなもの、自然現象なんだ。14歳のガキは考えたりしない。感じるだけだ。ロックンロールは炎なんだよ、「炎」。突っぱねること、世界をあざけることなんだ。
(『ニール・ヤング自伝』奥田祐士訳)
「ロック史上最も偉大なイントロ」と評されるオープニング・トラック「トゥッティ・フルッティ」のド迫力は一度聴いたら忘れられないし、「のっぽのサリー」のシビれるカッコ良さもさすがはキング・オブ・ロックンロールだ。他にも「スリッピン・アンド・スライディン」や「リップ・イット・アップ」も好きな曲だ。
わたしは年を取るにつれ、最新の音楽に飽き足りなくなって逆に過去に遡り、自分が生まれるよりさらに前の時代まで遡り、50~60年代の古い音楽の素晴らしさにあらためて魅せられる。
何十年もアホのようにロックを聴き続けていると、その「究極」としてやがて行き着いたところは、わたしの場合はチャック・ベリーのギターの生々しいキラメキや、リトル・リチャードの超絶パワーでダイナミックに加速するヴォーカルのような、「ロックンロールの原初の姿」なのかもしれない。
↓ 下積みが長かったリトル・リチャードが放った初めてのヒット曲、全米18位となった「トゥッティ・フルッティ」。
↓ 全米6位となった、リトル・リチャード最大のヒット・シングル「のっぽのサリー」。
(Goro)