ザ・パステルズ/ミリオン・ティアーズ (1984)

The Pastels – Million Tears – Vinyl (12", 45 RPM, Single), 1984 [r1384226] | Discogs

【80年代英インディー・ロックの名曲】
The Pastels
Million Tears (1984)

英スコットランドのグラスゴー出身のバンド、ザ・パステルズが1984年にクリエイションからリリースした、彼らにとって4枚目のシングルだ。

わたしは彼らの名前とこの曲を、1991年に発売された『クリエイション・スープ』という5枚組のコンピレーションCDで知った。当時はクリエイション・レーベルといえば、英国インディ界でもちょっとしたブランドだった。そのレーベルの80年代のシングル曲が100曲ぐらい入っていて、ブックレットにはフリッパーズ・ギターの二人と瀧見憲司による鼎談も載っていて、とても面白かった。

ひさしぶりに聴いたけど、やっぱりヘロヘロだなあ~。でも面白い。イントロが妙にカッコいいのが微笑ましい。なんだか愛おしさすら覚える。

これのひとつ前のシングル「サムシング・ゴーイング・オン」を初めて聴いたときはそのヘタクソさに、このわたしでさえイスからずり落ちそうになったものだった。

でも最初のうちこそ、どう聴いていいかよくわからないヘンテコなバンドの印象だったけれども、おそるおそる何度も聴いているうちにだんだん中毒みたいになってきて、逆になにが悪いのかわからなくなって、すっかり好きになってしまった。

こういうヘンなのも面白いなあ、なんて思い始めてから、ストライクゾーンが大幅にひろがったように思う。そのうちワンバウンドでも暴投でも、それはそれでアリだと思うようになった。

そうか。あの『クリエイション・スープ』で発見したパステルズは、わたしが90年代に英・米のインディー系ロックを聴きあさり、のめりこむきっかけのひとつになったのだな。

ニルヴァーナがよくカバーしていたヴァセリンズは、この同郷の先輩のパステルズに見いだされて、レコード契約したのである。その意味ではパステルズはわたしにとってもカート・コバーンにとっても恩人みたいなものである。

それにしても、令和の時代にこんなものを薦めてるなんて、われながらちょっと恥ずかしくなるな。

昭和の時代にはこんなんありました…なんて、ものすごくローテクな古いアイデア家電みたいなものをおそるおそるお見せしているような気分だ。

(Goro)