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Mountain
“Climbing!” (1970)
往年の名レスラー、アンドレ・ザ・ジャイアントのような見た目の巨漢、レスリー・ウエスト(Vo&G)率いるニューヨーク出身の3ピースバンド、マウンテンが1970年3月にリリースした1stアルバムだ。ちなみに邦題の『勝利への登攀』は「しょうりへのとうはん」と読む。
マウンテンは、グランド・ファンクと並んでアメリカン・ハード・ロック草創期を牽引した大師匠である。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 ミシシッピー・クイーン
2 想像されたウエスタンのテーマ
3 君がすべて
4 銀色の紙
SIDE B
1 ヤスガーの農場
2 友達のために
3 支配者
4 虹に坐って
5 バンドの少年
アルバム冒頭を飾るのは彼らの代表曲で永遠のロック・アンセム「ミシシッピ・クイーン」だ。まあ何しろこの曲はカッコいい。わたしも大好きだ。
他にも、リフがかっこいいA3「君がすべて」B4「虹に坐って」のようないかにもマウンテンのイメージにぴったりの豪快なハード・ナンバーはもちろん素晴らしいが、フォーク・ロックをハード・ロックに進化させたような、思わず歌メロを口ずさみたくなるA4「銀色の紙」やB1「ヤスガーの農場」、哀愁のラストナンバーB5「バンドの少年」、A2「想像されたウエスタンのテーマ」など、曲調は意外なほどに幅広く、アルバムを通して飽きずに楽しめる。
この頃のハード・ロック・バンドには、ブルースのバリエーションみたいな曲であったり、ギターのリフだけで出来ていて歌メロはテキトーだったりと、要するに「演奏は達者だけど、曲が書けない」バンドの方が多かったりするのだけれども、マウンテンはちゃんと曲が書ける数少ないバンドなのだ。
英国産の、ブルースをベースにしたクールなハード・ロックを醤油ラーメンに例えると、こちらは濃厚でパンチがありコクが後を引く、ニンニク味噌バターラーメンといった感じだ。
かといってしつこさや暑苦しさはなく、むしろ爽快な後味で満足度が高い。肉体労働者のわたしはついつい後者の方に惹かれてしまうのだ。
9曲32分、隅から隅まで味わい尽くせる完食必至の極旨アメリカン・ハード・ロック・アルバムである。
↓ マウンテンの代表曲となった永遠のロック・アンセム「ミシシッピ・クイーン」。
↓ 翌年にシングル・カットされた「銀色の紙」。思わず口ずさみたくなる。
(Goro)