ストーンズのカバー原曲を全発掘!【vol.3】Find Original The Rolling Stones Cover Songs

Have Guitar Will Travel

ザ・ローリング・ストーンズはその活動当初から、米国のブルース・R&Bのカバーを中心としていたが、彼らがカバーしたその原曲を聴いてみるという、ロック史の原初へと遡る旅は、ルーツ・ミュージック入門にも最適と言えるし、実際わたしもそうやってその奥深い世界を知り、魅了されていったのだった。

このシリーズでは全10回ほど(テキトーだな)に渡って、そんなストーンズがカバーした曲のオリジナルを発掘し、ストーンズが録音した年代順に紹介していきたいと思う。

今回はその第3回目で、ストーンズの3rdアルバム『アウト・オブ・アワー・ヘッズ』、そしてストーンズがその初期に出演したBBCラジオでのスタジオライヴを集めた『オン・エアー』に収録されたカバー曲などから、その原曲を紹介してみたいと思う。

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ラリー・ウィリアムズ
シー・セッド・イエー(1958)
Larry Williams – She Said Yeah
She Said Yeah

ラリー・ウィリアムズ(1935-80)はニューオーリンズ出身のシンガー・ソングライターだ。ピアノを弾きながら歌い、ロックンロール草創期の1957年から59年にかけてヒットを連発した。

ブリティッシュ・ビート・バンドたちに絶大な人気があり、この曲はストーンズ以外にもアニマルズ、ホリーズがカバーしているし、ビートルズは彼の「スロウ・ダウン」「ディジー・ミス・リジー」「バッド・ボーイ」をカバーしている。

ストーンズ版は英国盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に収録。

ドン・コヴェイ&ザ・グッドタイマーズ
マーシー、マーシー(1964)
Don Covay & The Goodtimers – Mercy, Mercy
Mercy, Mercy

ドン・コヴェイ(1936-2015)は、米ノースカロライナ州出身のソウルシンガーだ。

この曲は全米35位となった彼のヒットシングルだが、ソウルシンガーにしてはユルい感じの歌い方で、なんとなくストーンズっぽい。ちなみにギターを弾いているのは、無名時代のジミ・ヘンドリックスだ。

ストーンズ版は英国盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に収録。

マーヴィン・ゲイ
ヒッチ・ハイク(1962)
Marvin Gaye – Hitch Hike
Hitch Hike

マーヴィン・ゲイ(1939-84)が1962年にモータウンからリリースした5枚目のシングルで、全米30位のヒットとなった。初のトップ40入りとなり、これがきっかけとなってヒット連発、彼の快進撃が始まった。

ストーンズ版は英国盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に収録。

オーティス・レディング
この強き愛(1965)
Otis Redding – That’s How Strong My Love Is
That's How Strong My Love Is (2020 Remaster)

「おれの愛はなんて強いんだろう!」と歌う、オーティス・レディング(1941-67)の名唱が感動的な代表曲。

発売が1965年の1月だが、ストーンズはちょうどその時期に録音中だったアルバム『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』で直ちにカバーしている。

その前のアルバム『ローリング・ストーンズvol.2』でもその年に発表されたオーティスの「ペイン・イン・マイ・ハート」をいち早くカバーしているし、この同世代のディープ・ソウルシンガーがよほどお気に入りだったとみえる。

ストーンズ版は英国盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に収録。

サム・クック
グッド・タイムズ(1964)
Sam Cooke – Good Times
Good Times

そのオーティスが敬愛し、〈ディープ・ソウル〉の源流となったサム・クック(1931-64)がその死の5ヶ月前にリリースしたシングルで、全米11位の大ヒットとなった。このブログでも度々書いているが、わたしはすべてのソウルシンガーで一番好きなのがこのサム・クック、その次がオーティス・レディングである。

1964年12月11日、泥酔したサム・クックがモーテルの管理人とトラブルになり、射殺されるという衝撃的な事件は、ストーンズが『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』を録音していた期間中のことだった。このカバーを収録したのは追悼の意味も込められていたのかもしれない。

チャック・ベリー
アイム・トーキング・アバウト・ユー(1961)
Chuck Berry – I’m Talking About You
I'm Talking About You

チャック・ベリー(1926-2017)が1961年に発表したアルバム『New Juke Box Hits』のオープニング・トラック。

アルバムがリリースされたのは、彼が未成年者を連れまわし売春を強要したという容疑の裁判が進行中の時期で、人気が急落していたこともあり、まったく売れなかったという。

ストーンズ版は英国盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に収録。

ソロモン・バーク
クライ・トゥ・ミー(1962)
Solomon Burke – Cry To Me
Cry to Me (Remastered)

名門アトランティック・ソウルの初代帝王として活躍したソロモン・バーク(1940-2010)の代表曲。米R&Bチャート5位のヒットとなった。

ゴスペル出身の彼はそのパワフルかつ感情豊かな独特の唱法で、それまでの”R&B”を”ソウル・ミュージック”に変えた第一人者として知られている。

ストーンズ版は英国盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に収録。

バーバラ・リン
オー・ベイビー(1964)
Barbara Lynn – Oh Baby (We Got A Good Thing Goin’)
Oh! Baby (We Got a Good Thing Goin')

テキサス州出身のバーバラ・リン(1942-)は、女性R&Bシンガーとしてはめずらしく、エレキギターを弾きながら歌う。しかも左利きで。しかもピック無しで。ちょっとハスキーで可憐な歌声もさることながら、その見た目もなかなかにカッコいいパフォーマーだ

この曲は1964年にリリースされたシングルで、米R&Bチャート19位まで上昇した。

ストーンズ版は英国盤『アウト・オブ・アワ・ヘッズ』に収録。

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チャック・ベリー
ロール・オーヴァー・ベートーヴェン
Chuck Berry – Roll Over Beethoven
Roll Over Beethoven

ビートルズによるカバーでも有名な、チャック・ベリーの代表曲のひとつ。彼の4枚目のシングルとしてリリースされ、全米29位のヒットとなった。

ストーンズのカバーはオリジナル・スタジオ・アルバムには収録されていないが、2017年にリリースされた、1963〜65年にかけてBBCラジオで録音されたスタジオライブを集めた『オン・エアー』に収録されている。

ボ・ディドリー
コップス・アンド・ロバーズ(1960)
Bo Diddley – Cops And Robbers
Cops And Robbers

1960年にリリースされた、ボ・ディドリー(1928-2008)のジャケが滅法カッコいい3rdアルバム『Have Guitar Will Travel』収録の、いかにもシカゴ・ブルースらしいナンバーだ。

ストーンズによるカバーは2017年リリースの『オン・エアー』に収録。

チャック・ベリー
メンフィス(1959)
Chuck Berry – Memphis Tennessee
Memphis, Tennessee

1959年リリースのシングル「バック・イン・ザ・USA」のB面曲だ。
わたしは最初は単純にこのシンプルなメロディが気に入ったのだけど、歌詞の意味を知ってますます好きになった。⇨歌詞の意味はこちら

最後のオチでグッとくるこの歌詞で、A面曲よりも人気が高くなり、彼の代表曲のひとつとなった。

ストーンズによるカバーは2017年リリースの『オン・エアー』に収録。

トミー・タッカー
ハイ・ヒール・スニーカーズ(1964)
Tommy Tucker – Hi Heel Sneakers
Hi-Heel Sneakers

米オハイオ州出身のピアニスト兼シンガー、トミー・タッカー(1933-82)の代表曲。1964年にシングルとしてリリースされ、全米11位の大ヒットとなっている。この曲以外は商業的に成功せず、いわゆる一発屋だった。60年代後半には早々と引退し、不動産業に転職した。

ストーンズによるカバーは2017年リリースの『オン・エアー』に収録。

バスター・ブラウン
ファニー・メイ(1959)
Buster Brown – Fannie Mae
Fannie Mae

米ジョージア州出身のブルースR&Bシンガー、バスター・ブラウン(1911-76)の代表曲。米R&Bチャート1位の大ヒットとなった。スティーヴ・ミラー・バンドもカバーし、映画『アメリカン・グラフィティ』でも使用された。

ストーンズによるカバーは2017年リリースの『オン・エアー』に収録。

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ジミー・リード
エイント・ザット・ラヴィング・ユー・ベイビー(1956)
Jimmy Reed – Ain’t That Loving You Baby
Ain’t That Lovin’ You Baby

ミシシッピ州出身のブルースマン、ジミー・リード(1925-76)はストーンズも数多くのカバーを残しているが、彼の都会的なエレクトリックスタイルのブルースは人種を問わず幅広い層に人気があり、最も影響力のあったブルースマンのひとりだった。

1956年にリリースされたこの曲は、米R&Bチャート8位のヒットとなっている。

ストーンズによるカバーは2017年リリースの『オン・エアー』の2枚組デラックス版に収録。

チャック・ベリー
ビューティフル・デライラ(1958)
Chuck Berry – Beautiful Delilah
Beautiful Delilah

チャック・ベリーの黄金時代、1958年のシングル。大ヒットした「ジョニー・B・グッド」の次のシングルとしてリリースされたが、こちらは全米81位とふるわなかった。なんかストーンズはそんな曲ばっかりカバーしてるな。

ストーンズによるカバーは2017年リリースの『オン・エアー』の2枚組デラックス版に収録。

ボ・ディドリー
クラッキン・アップ(1959)
Bo Diddley – Crackin’ Up
Crackin' Up

米R&Bチャート14位まで上昇したヒット曲。常夏の風景を思わせるような爽やかな曲だ。

ストーンズによるカバーは2017年リリースの『オン・エアー』の2枚組デラックス版に収録。また、1977年リリースのライヴ・アルバム『ラヴ・ユー・ライヴ』にも収録されている。

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《ストーンズのカバー原曲を全発掘!【vol.3】》は以上です。

上記の16曲をぶっ続けで聴けるプレイリストを作成しましたので、ご利用ください。

She Said Yeah

次回、vol.4もご期待ください。

(Goro)