A) 一人ぼっちの世界
B) シンガー・ノット・ザ・ソング
B) The Singer Not the Song
The Rolling Stones SINGLE 1965.10
2曲ともジャガー/リチャーズによるオリジナル曲だ。ここからのストーンズはもうオリジナル中心になっていくので、今後は特別に表記しない限りはジャガー/リチャーズの作と考えてほしい。
1965年10月にリリースされた、世界的に大ヒットした「サティスファクション」の次のシングルだった。マネージャーやレコード会社、もうみんなが次のヒット曲をよだれを垂らして早く早くと待ちかねているときに作った曲ということになる。キースの自伝には、次のように書かれている。
「次のはどこにある? 四週間後には必要なんだ」。俺たちはというと、ツアーで1日2回ショーに出ていた。2ヶ月に1枚、新しいシングルが必要になる。次のを送り出すとまたすぐに求められる。(中略)多くのバンドがその暗礁に乗り上げて行き詰まり、駄目になっていった。「ゲット・オフ・オブ・マイ・クラウド」は、俺にかまうなって意味だ。もっとよこせというレコード会社にタイトルで反撃したのさ。おまけに売れた。(『ライフ』キース・リチャーズ著 棚橋志行訳)
「サティスファクション」のようなファズギターはないものの、大方の期待通りの刺激的なロックンロールで、歌詞も彼らの「扱いにくいひねくれ者」「不良」のイメージを強調するものだった。
ミックの早口で畳み掛けるようなヴォーカルは、その3ヶ月前に発表され、大ヒットしていたボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」に影響されたものだという。 当時の英米のロックシーンが互いに刺激し合い、影響し合い、怒涛のように急速な変化をもたらしたことがよくわかる。
B面の「ザ・シンガー・ノット・ザ・ソング」はフォーク・ロック風の曲。これはディランというよりバーズかな。キースのアコギがいい感じだ。
「歌じゃなくて、歌手だ」と歌ってるが、どういう意味かはまあよくわからんけど、好きな曲だ。
このシングルも前作に続いて、全英1位、全米1位の大ヒットとなった。
この連続ヒットはストーンズにとって大きかったと思う。下手したらストーンズも「サティスファクション」の一発屋で終わりかねなかった。これで他のブリティッシュ・ビート・バンドにも大きく差をつけた。
ストーンズが60年代にリリースしたシングルはこの『シングル・コレクション:ザ・ロンドン・イヤーズ』で、年代順にA面・B面ともすべて聴くことができる。ストーンズ・ファン必携のアルバムだ。
(Goro)