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The Cars
The Cars (1978)
カーズは米ボストン出身のバンドだ。全員が車好きということでカーズというバンド名にしたのだそうだ。
そのなんとも、思想もなければ芸術家然としたところもない身軽な感じが、それまでのアメリカのロック・バンドにはない新鮮さを感じたものだ。アメリカにおけるニュー・ウェイヴ・シーンは、彼らの登場によって始まったと言っても過言ではないと思う。
ただし、曲によってリード・ヴォーカルを分け合う中心メンバーの二人、リック・オケイセック(Vo&G)とベンジャミン・オール(Vo&B)はデビュー時でそれぞれ34歳と31歳という、パンク世代よりもずっと年上だった。
それぞれ別のバンドを60年代から続けてきた彼らだからこそ、50年代のロカビリーや、60年代のポップス、70年代のアート・ロックやギター・ロックに、当時のパンクの簡潔さや疾走感、そして最新のシンセサイザーという様々な要素をブレンドし、時代の先端をいく音楽を生み出したのだ。
本作はそんなカーズが1978年6月にリリースした1stアルバムである。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 グッド・タイムズ・ロール(全米41位)
2 ベスト・フレンズ・ガール(全米35位、全英3位)
3 燃える欲望(全米27位、全英17位)
4 狂気のふれあい
5 ドント・チャ・ストップ
SIDE B
1 今夜は逃さない
2 バイ・バイ・ラヴ
3 ムーヴィング・イン・ステレオ
4 オール・ミックスト・アップ
フロントマンのリック・オケイセックがすべての曲を書いているが、最初の3曲を聴いただけで彼が優れたソングライターだということがわかる。パワフルなのにスタイリッシュでキレがあり、リスナーの耳をつかむフックがある。カーズだけに、ドライヴ感もある
なんとなく、アメリカより、イギリスっぽい感じもする。アメリカの土の匂いがまったくしないというか。
ライヴでもレコードと同等のクオリティで再現していたと伝えられているほど、バンドの技術レベルは相当なものだったらしい。
米国パンクの新世代たちはレコード・セールスが伸びずに悩んでいたが、本作はその壁を突破し、全米18位、全英29位まで上昇し、600万枚を売り上げる大ヒットとなった。
その後も1988年に解散するまで、6作すべてでミリオンセラーを記録する人気バンドとして活躍した。
↓ 全米27位のヒットとなったデビュー・シングル「燃える欲望」。
↓全米35位のヒットとなった2ndシングル「ベスト・フレンズ・ガール」。
(Goro)