Nick Cave – Helpless
1989年に発売された『ザ・ブリッジ~ア・トリビュート・トゥ・ニール・ヤング』に収録された、ニック・ケイヴによる名曲「ヘルプレス」のカバーだ。
このトリビュート・アルバムは、ヤング夫妻の子息も同じ障害を持つことから当時から夫妻が深く関わっていた、脳性麻痺障害児のためのスクール《ザ・ブリッジ》のために企画されたチャリティ・アルバムだった。
参加したのは、ニール・ヤングをリスペクトしている、インディ・シーンの若いアーティストたちだった。
このCDを購入した当時のわたしには、ほとんど名前を知らないアーティストばかりだったが、収録されたカバー・バージョンの予想以上の素晴らしさに驚き、彼らの名前を覚えることになった。すなわち、ニック・ケイヴ、ソニック・ユース、ピクシーズ、ダイナソーJr、ガム・ボール、ソウル・アサイラム、フレイミング・リップスなどだった。
わたしがその後90年代のオルタナティヴ・ロックに深くハマっていくきっかけのひとつにはこのアルバムとの出会いもあったのだ。
このニック・ケイヴの演奏もまた、素晴らしい。
ニールとは真逆の低音ヴォイスながら、不思議なことに曲にすごく合っている。
静謐なアレンジと魂の込もった歌が、緊張感や切迫感とともにリアルに感じられるのは、当時ニック・ケイヴ自身がヘロイン中毒に苦しんでいた時期だったこととも無関係ではない気がする。
↓ クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのオリジナル。
(Goro)