Buzzcocks
Boredom (1977)
「誰だってロックバンドが出来る」。70年代パンクは、そんなD.I.Y.精神を合言葉に、一気に拡がりを見せた。
さらには自分たちの街にセックス・ピストルズを呼んでライヴを主催し、自分でもバンドを結成し、自分たちでレーベルを立ち上げ、自分たちでレコードを製作し、自分たちで販売した究極のD.I.Y.バンドが、マンチェスターのバズコックスだった。
この曲は、彼らが最初に製作した4曲入りデビューEP『スパイラル・スクラッチ(Spiral Scratch)』収録曲で、初期の代表曲だ。
まだセックス・ピストルズとダムドがデビュー・シングルを出したぐらいで、クラッシュもレコードデビューしていない1977年1月という早い時期に、恐ろしいことにバズコックスはすでに「パンク・シーンはもう退屈だ」と歌っている。
この曲を書いたピート・シェリーは、「パンクはこうあるべき、みたいな固定観念がパンクをダメにしていく」ということを言っているそうで、まったくその通りだが、それにしてもそれを言うのはいくらなんでも早すぎやしないかと思う。
このアマチュアリズム溢れる演奏の「ボーダム」は当時のパンクスたちのアンセムになったが、その後のバズコックスはパンクの型にハマらない、ポップなメロディーやせつないラヴ・ソング、ユーモラスな歌詞、あるいはハード・ロックのようなサウンドや実験的な楽曲など、あらゆることに挑戦した。
ある意味で最もパンク・バンドらしいバンドだったとも言えるだろう。
(Goro)