ジェネシス/フォロー・ユー・フォロー・ミー (1978)

Follow You Follow Me - Wikipedia

【70年代ロックの名曲】
Genesis
Follow You Follow Me (1978)

やっぱり「懐かしい」は最強だな。

この年になってくると、若い頃に聴いた音楽を30年ぶり、40年ぶりに聴いたりすると、「好き」とか「嫌い」とか、「良い」とか「悪い」とかよりも、「懐かしい」という感情がすべてを上回る。すべてをチャラにしてしまう、最強の感情だ。

わたしは若い頃から、プログレ様が大の苦手だった。

なのでプログレ様時代のジェネシスは聴いていなかったけれども、この曲だけはたまたま持っていた廉価コンピレーションCDに入っていたので、よく聴いた。好きだと思ったことは当時はなかったけれども、そのコンピが気に入っていたので、聴いていたのだ。

たぶんわたしの好きなロックとはまったく違うタイプのものだけれども、今は「懐かしい」がすべてを上回っているので、とても楽しく聴ける。そんなかたちの音楽の楽しみ方もあっていいと思う。

1975年にフロントマンのピーター・ガブリエルが脱退し、77年にギターのスティーヴ・ハケットが脱退すると、ついにジェネシスは3人になってしまう。

翌78年の、実に寂しげなタイトルのアルバム『そして3人が残った(…And Then There Were Three…)』はしかし、ジェネシスにとっての最大の転機となる。

どういうわけか奇跡的にピーター・ガブリエルそっくりの声を持っていたドラムのフィル・コリンズがヴォーカルを兼任し、トニー・バンクスはキーボード、マイク・ラザフォードがギターとベースの両方を担当するという、人手不足が顕著なバンドとなり、ついでに食えないプログレ様に見切りをつけて、ポップスに転向した。

そしてこのフワフワのシュークリームみたいな甘いラヴソング「フォロー・ユー・フォローミー」をシングルカットすると、ジェネシスのキャリア中最大のヒットとなった(全英7位、全米23位)。ここから新生ジェネシスの快進撃が始まる。

80年代に入るとアメリカでも支持され、イギリスよりもむしろアメリカでシングル・ヒットを連発すると、1986年には「インヴィジブル・タッチ」でついに全米1位に輝く。

70年代のプログレ様たちが80年代になると続々とポップスやAORへと転向したが、そんな「転びプログレ」様たちの扉を開いたのがジェネシスだったと言えるだろう。

ピーター・ガブリエルもソロになって大成功し、残されたジェネシスのほうも大成功し、さらにはフィル・コリンズがソロでも大成功と、80年代はまさにジェネシス・ファミリーが音楽シーンを席巻したのだった。

(Goro)