
The Rolling Stones
Miss You (1978)
1978年のアルバム『女たち』のオープニングを飾る、当時大流行中だったディスコ・ビートを取り入れ、全米1位、全英3位の大ヒットとなった。ストーンズのシングルが全米1位を獲得したのは「アンジー」以来、実に5年ぶりのことだった。
当時は、ディスコ・ミュージックと言えば、内容の無いチャラチャラした商業用ダンス音楽として、ロック・ファンからは敵視されていたものだった。
シカゴのディスコ嫌いのDJの呼び掛けで、野球場にディスコのレコードが持ち寄られ、集まったレコードをDJが自ら爆破するといった過激なイベントが行われたこともあったほどだった。
そんなものをあのストーンズが取り入れ、しかもガチのディスコ・ナンバーとして世に受け入れられ、実際にフロアで踊られまくり、大ヒットしたものだから、賛否両論が巻き起こった。
しかしストーンズはそもそも、ブルースからスタートして、R&B~ソウル~ファンク、そしてレゲエと、黒人音楽をリアルタイムで吸収・消化して新しいロックを生み出して来たのである。
ディスコ・ミュージックはもともとソウルやファンクから派生して生まれ、黒人と(なぜか)ゲイの皆さんに支持されて火が点いた音楽だった。だからストーンズがディスコ・ミュージックをやるというのはべつに突飛なことでもなかったのである。
「ミス・ユー」はディスコ・ビートを使っていても、艶っぽいギター・リフが曲の中心となっていて、結局はロック・ミュージックの名曲になっている。同時に、70年代ディスコ・ミュージックの傑作のひとつとも言えるだろう。
そしてこの後、パンク・ロックの台頭で影が薄くなったり、セールスがガタ落ちしていたベテラン大物アーティストたちが、このストーンズの成功に続けとばかりに、ディスコ・ビートを取り入れた楽曲を競うように発表し、大ヒットしたり、黒歴史になったりしたのであった。
(Goro)