TOTO
Africa (1982)
米ロサンゼルスのスタジオ・ミュージシャンたちによって結成されたバンド、TOTOが1982年4月に発表した4枚目のアルバム『TOTO IV ~聖なる剣』からシングル・カットされ、全米1位の大ヒットとなった代表曲だ。
わたしはTOTOをあまり聴いたことがなかったけれども、この曲にあらためて注目したのは、2018年にウィーザーがカバーしたからだった。
「ウィーザーがTOTOの『アフリカ』のカバーをシングルで発表」というSNSの投稿をたまたま目にし、TOTOとウィーザーなんて、どちらもロサンゼルスのバンドということだけは共通しているけれども、かたや凄腕スタジオ・ミュージシャンたちによるAORロック、かたや素人っぽさがウリのオルタナ系ロックという、明らかに真逆なはずの奇妙な組み合わせに惹かれて聴いてみたのだった。
そもそもこのカバーは、ウィーザーのファンである14歳の少女がTVドラマで「アフリカ」を聴いて、「ウィーザーにカバーしてほしい」というSNS上での懇願から始まったそうだ。
あろうことかウィーザーがそのリクエストに応え、実現したという。
われわれのようなオールド・ロック・ファンには考えられない組み合わせのように思えるものも、14歳の少女にしてみたら、TOTOもウィーザーも自分が生まれる前に活躍していたロック・レジェンドであって、細かい違いなど知ったこっちゃないのだろう。きっと、P.I.L.がザ・バンドをカバーしても別に意外に思わないに違いない。
やっぱり若いってことはいいな。年寄りがいつまでも捨てられずにいる古い考えなんて、若い感性は最初から持っていないのだ。
古くてガタついた窓が開けられて、新しい風の匂いを感じるような、そんな嬉しい気持ちになるカバーだった。
ウィーザーによる「アフリカ」のシングルは、バンドにとっては10年ぶりとなる、米オルタナチャートの1位に輝いた。ウィーザーはこれをきっかけに息を吹き返し、その後も毎年のようにコンスタントにシングルが米オルタナチャートの1位を獲得する好調の波に乗った。
人生、いったい何が功を奏するかわからないものである。
また、このカバーについてTOTOのスティーヴ・ルカサーは「とても嬉しい。ありがとう。いつか会えるといいな、おれたちのことを嫌ってなければだけど。hahaha」とツイートしている。
↓ 全米1位の大ヒットとなったTOTOのオリジナル。
↓ 2018年にリリースされたウィーザーによるカバー。
(Goro)