Daryl Hall & John Oates
Private Eyes (1981)
ダリル・ホール&ジョン・オーツは、1972年にデビューしたフィラデルフィアの2人組だ。白人ながらR&B志向の音楽で「ブルー・アイド・ソウル(青い目のソウル)」の代表格として知られる。
60年代に活躍したライチャス・ブラザーズなどは、言われなければ白人とわからないほどR&B臭が強烈なブルー・アイド・ソウルだけど、このホール&オーツはもっとコンテンポラリーで小洒落た感じだ。ちょうどうまいこと時代が追いついたのか、80年代に入って爆発的に売れた。
この曲は、1981年9月にリリースされた彼らの10枚目のアルバム『プライベート・アイズ』からのシングルで、彼らにとって3曲目の全米No.1シングルとなった。当時から日本でも人気が高く、80年代から続く洋楽番組『ベストヒットUSA』の最多出演回数の記録も保持しているらしい。
わたしが彼らのレコードを聴いたのは16歳の頃だった。
喫茶店のバイトで知り合った、バンドをやっていた先輩に「洋楽に興味があるならとりあえずホール&オーツを聴くべきだ。彼らが時代の最先端だからね」などと言われて素直なわたしはすぐに貸しレコード店に走り、ベスト盤を借りて聴いたのだけれど、正直、どこがいいのかよくわからなかった。
わたしはきっと最先端ではないのだな、と早めに知ることができたのはしかし、良かったのかもしれない。それ以降、わたしは最先端をあきらめ、60年代や70年代のロックへと興味が移り、そこでたくさんの素晴らしい作品やアーティストを見つけることができたからだ。
あれから40年。最先端だったホール&オーツも、今や大クラシックだ。そうなると、もはや好きも嫌いも超えて、ただただ懐かしいというだけで楽しめる。
「懐かしさ」は、好きも嫌いもこだわりも偏見も、すべてを超えてしまう、最強のエフェクトなのだ。
(Goro)