オーティス・レディング/ペイン・イン・マイ・ハート (1964)【’60s Soul Masterpiece】

Pain in My Heart [12 inch Analog]

【60年代ソウルの名曲】
Otis Redding
Pain in My Heart (1964)

米ジョージア州出身のソウル・シンガー、オーティス・レディングが1964年3月に発表した1stアルバム『ペイン・イン・マイ・ハート』のタイトル曲だ。シングルとしてもリリースされ、米R&Bチャート11位まで上がるヒットとなった。

作者はNaomi Nevilleとなっているが、これはアラン・トゥーサンの変名らしい。

オーティスの6枚目のシングルで、当時彼はまだ23歳なのだけれども、すでに老成したような渋さや説得力を感じる。若造なのに、貫禄十分である。

オーティスの声だけでなく、わたしはこのなんだか暗闇のなかで鳴ってるかのようなサウンドが好きだ。

重量感あふれるベースが闇を揺らし、ギターが線香花火のように小さな光を放ってチロチロと音を立てる。ドラムはごつごつしたリズムを刻み、眠たげな馬のようにホーンがいななく。

バラードを歌うオーティスは闇の中でずっとなにかを探すように、目を閉じ、宙空を手探りしながら歌っているかのように想像してしまう。

オーティスの登場によって、いわゆる〈ディープ・ソウル〉と言われるものが誕生した。

ディープ・ソウルとは主に米南部の、ブルースやゴスペルの影響を受けた、スローバラードやミディアムテンポのソウル・ミュージックのことだ。サザン・ソウルとも言うが、その音楽性をよく表している〈ディープ・ソウル〉という呼び名の方がわたしは好きだ。

ディープ・ソウルはサム・クックに始まり、オーティス・レディングによって深化した。わたしはソウルの中でも、この熟れすぎた果実みたいなディープ・ソウルが特に好きだ。

うまく説明はできないが、そこにはロックに通じるものが濃厚にあるようにわたしは感じる。

このブログの【名盤500】にもいずれ、ディープ・ソウルの名盤がいくつか入ってくるだろうと思う。

Pain in My Heart (2020 Remaster)

(Goro)