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The Sonics
“Here Are The Sonics” (1965)
米ワシントン州シアトルのバンド、ザ・ソニックスが1965年3月にリリースした1stアルバムだ。
シアトル出身と聞けばロック好きはすぐにニルヴァーナなどのグランジ勢を思い浮かべるに違いないが、まさしくその源流みたいなバンドである。このうえなくアグレッシヴで、クレイジーで、クソやかましく、鳥肌が立つほどカッコいい。
わたしがこのバンドのことを知ったのは2000年代だったと思うけれども、初めて聴いたときは、1965年ですでにこんなガレージパンクみたいなことをやってたのかと驚いたものだった。
この当時だと楽器や機材の能力も限られてると思うが、それでもなんとか出来る限りアグレッシヴに、騒々しく、聴きにくく、エッジの立ったレコードにしようと、意識的にやっているように思える。
まるで10年先駆けてパンクロックをやろうとしているかのようなのである。
特にヴォーカルとドラムはクレイジーとしか言いようがない。
こんなバンドがわたしは大好物だ。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 ウィッチ★
2 ドゥ・ユー・ラヴ・ミー
3 ロール・オーヴァー・ベートーヴェン
4 ボス・ホス★
5 ダーティ・ラバー
6 ハヴ・ラヴ・ウィル・トラヴェル
SIDE B
1 サイコ★
2 マネー
3 ウォーキング・ザ・ドッグ
4 ナイト・タイム・イズ・ザ・ライト・タイム
5 ストライチナイン★
6 グッド・ゴーリー・ミス・モーリー
オリジナル曲は★印の4曲のみで、あとはカバー曲である。
オリジナル曲はすべてリード・ヴォーカル兼キーボードのジェリー・ロスリーの作だ。特にA1「ウィッチ」とB1「サイコ」は素晴らしい。一聴してわたしはぶっ飛ばされた。
カバー曲は多くのバンドがカバーしたロックンロール・スタンダードが多いが、特にA2「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」とB6「グッド・ゴーリー・ミス・モーリー」は凄絶である。これほど凄まじい、熱いカバーは聴いたことがない。
しかし彼らは10年早すぎたのだ。地元ではシングル「ウィッチ」もローカル・ヒットして、人気があったらしいが、全国区にはなれず、3枚のアルバムを残して、68年には解散している。
同時期にデビューしたザ・フーやザ・バーズの、完成度の高いレコードとは比べ物にならないが、その勢いとバカっぽさではバーズに大きく勝り、そのクソやかましさではザ・フーにもまったく負けていないと思うのである。
↓ ソニックスの代表曲「サイコ」。わたしはこいつに一撃でぶっ飛ばされた。
↓ 1964年11月にリリースされたデビュー・シングル「ウィッチ」。ローカル・ヒットしたが、全米チャートに上ることはできなかった。
(Goro)