レッド・ツェッペリン『レッド・ツェッペリン』(1969)【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#132

Led Zeppelin 1 [REMASTERED ORIGINAL VINYL 1LP] [Analog]

⭐️⭐️⭐️⭐️

【わたしが選ぶ!最強ロック名盤500】#132
Led Zeppelin
“Led Zeppelin” (1969)

アルバムを聴き始めてまず最初に、これは尋常じゃないベーシストがいるなと気づく。

そしてさらに聴き進めるうち、とんでもなく腕の立つギタリストと、化け物みたいなドラマーがいることにも気づく。そして最後に、あら、歌ってるやつもすげーな、と遅まきながら圧倒されるのである。

1969年の初頭にそんなレベチのバンドによる1stアルバムがリリースされた。

ここまで、1955年のロックンロール誕生から、60年代のブリティッシュ・ビートの爆誕、ボブ・ディランの登場と、ロックの変遷を追ってきたが、このレッド・ツェッペリンの登場は、ちょうど8トラック・レコーダーの誕生も相まって、ロックの新たな時代が始まったことを告げている。

簡単に言えば〈ハード・ロックの誕生〉だが、しかし本作はいわゆる〈ハード・ロック〉と聞いてイメージするものとは少し違っている。

速い曲はほとんどないし、派手なギターソロをひけらかす場面もほとんどない。

アルバムはゴツゴツとした質感のサウンドで、光と影のコントラストを見せながら、重量感が半端ないグルーヴでブルースやフォークをヘヴィに、ドラマチックに聴かせるのである。

また意外にもアコギが多用され、それも装飾のようにではなく、楽曲の背骨と肋骨のように、中心に据えられている。

彼らはハード・ロックの始祖であることは間違いないが、いわゆる後の商業臭の強いハード・ロックやヘヴィ・メタルみたいな派手なものを期待して聴くと肩透かしを喰らうだろう。

本作は、完全なオリジナルが3曲、カバーが3曲、オリジナルだがパクリ疑惑がある微妙なものが3曲という構成になっている。カッコ内はカバー元のアーティストだ。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 グッド・タイムズ・バッド・タイムズ
2 ゴナ・リーヴ・ユー(アン・ブレドン)
3 ユー・シュック・ミー(マディ・ウォーターズ)
4 幻惑されて

SIDE B

1 時が来たりて
2 ブラック・マウンテン・サイド
3 コミュニケイション・ブレイクダウン
4 君から離れられない(オーティス・ラッシュ)
5 ハウ・メニー・モア・タイムズ

ロックンロールと言えるような曲はA1「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」とB3「コミュニケイション・ブレイクダウン」の2曲ぐらいのものだが、この2曲がやはり強烈な印象を残すのは、ただキャッチーというだけでなく、このバンドの最大の魅力である、4人の何かに憑かれたような一体感が生み出すグルーヴが、最もわかりやすく表れているからだろう。

一瞬たりともダレたり甘くなったりすることのない、張り詰めた緊張感が息苦しいほどのアルバムだ。正直、あまりお気楽に聴けるようなものではない。

そのせいなのかどうか、発売当初は音楽評論家たちの評価は概ね厳しいものだったという。

しかしそれにも関わらず、全米アルバムチャート最高位10位、73週連続でチャートインし、アメリカだけで現在までに800万枚を売る大ヒットとなった。

↓ ロックの新しい歴史の扉を叩くようなイントロで始まる、ベースもギターもドラムも何もかもが衝撃的な「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」。彼らの1stシングルとしてもリリースされた。

Led Zeppelin – Good Times Bad Times (Official Audio)

↓ 本作のハイライトとも言える彼らの代表曲のひとつ「コミュニケイション・ブレイクダウン」。

Led Zeppelin – Communication Breakdown (Official Audio)

(Goro)