
Primal Scream
Rocks (1994)
1stアルバムではフォーク・ロック、2ndはガレージ・ロック、3rdはハウス・ミュージックと、1作ごとに音楽性をガラリと変え、われわれの意表をついて楽しませてくれた彼らの4thアルバム『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』は、米メンフィスで録音され、70年代のローリング・ストーンズを想起させるような、南部の香りのするロケンロールとソウルを中心に据えたアルバムだった。
シングル・カットされた「ロックス」は全英7位とバンドにとって過去最高のヒットとなり、これで彼らは一気に知名度を上げた。
売人はヤクを売り
泥棒は盗みまくる
売春婦は体を売り
ジャンキーは剃刀の刃で白いラインをつくる
取引の場所はホモの溜まり場で
ストリップ小屋は背中を丸めたオナニー野郎でいっぱいだ
淋病のせいであそこが痒くて仕方ない悩みなんか忘れて、やろうぜハニー
ダウンタウンに繰り出し乱痴気騒ぎだ
ヘロヘロになってやりまくろうぜ
(written by Bobby Gillespie, Andrew Innes, Robert Young)
歌詞の内容は絵にかいたような恥知らずのロケンロールだが、あえてそういうものを書こうとしたのだろう。
この曲のヒットで彼らにはワイルドなロケンロール野郎的なイメージが付いてしまったが、しかし実のところプライマル・スクリームにはこんなストレートなロケンロールはほとんどない。
彼らはまるで映画の監督かプロデューサーのように、「今回はこんなテーマで、こういうストーリーでいこう」みたいに、作品を製作している印象がある。前作は青春ドラマだったけど、今回はギャング物でいこう、みたいな。
だから「どれが本当のプライマル・スクリームなのか?」なんていう疑問はもちろん愚問なのである。
なので、「ロックス」が彼ららしいスタイルと言えるのかはわからないけど、その当時彼らに一番求められていたタイプの楽曲だったことは確かであり、リスナーの期待にドンピシャで応えたのはたしかただろう。だから売れたのだ。
やはりミュージシャンはどんなかたちでも、売れれば成功だ。売れなければ、次にチャレンジする権利すら奪われる。
前作の『スクリーマデリカ』もわたしは好きだったが、このアルバムの「ロックス」「ジェイルバード」あたりは今聴いてもやはりよくできたロケンロールだと思う。
(Goro)