Under The Bridge (1991)
1991年の大ブレイク作『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』からのシングルで、全米2位となる、彼らにとって初めての世界的ヒットとなった名曲だ。
それまでのレッチリをそれほど好きでもなかったわたしも、このアルバムは大いに気に入ったし、この「アンダー・ザ・ブリッジ」にはやはり感動した。
作り込まれた聴きやすくて美しいバラード、というのとは全然違う、ギターのイントロからしてどこか不器用な感じがするし、ヴォーカルは意を決して初めて本当のことを語ろうとしいるような、武骨だけど誠実な音楽に聴こえた。
それまで股間に靴下をぶら下げた、悪ふざけのイメージが強かった彼らの、誠実な正体がわかった気がしたのだ。
ときどき、おれには友なんていないんじゃないかと思うことがある
おれのいちばんの友はこの街なんじゃないかと思うことがある天使の街は、ひとりぼっちのおれといっしょに泣いてくれる
あの日のような気持には二度となりたくないおれの好きな場所につれてってほしい
ずっと向こうまで連れてってほしいダウンタウンの橋の下、おれは少し血を抜いた
ダウンタウンの橋の下、いくらやっても足りなかった
ダウンタウンの橋の下、愛する人のことを忘れた
ダウンタウンの橋の下、おれは人生を捨てた
(written by Flea, Frusciante, Kiedis, Smith)
初代ギタリストのヒレルがヘロインで死に、アンソニーとフリーも麻薬中毒から立ち直った過去があるバンドによって歌われると、どうしてもそういうことを想像させる、とても重い歌詞だ。
ちょうどこの曲がヒットしていた92年5月には、ロサンゼルス暴動が起こった。
スピード違反をしたひとりの黒人男性を20人の白人警官がよってたかって暴行している現場を近隣住民がビデオカメラに収めていた。その映像が全米で報道されたことがきっかけとなって、これまでの鬱憤を爆発させるかのように、黒人たちによる暴動がロサンゼルスの街で起こったのだった。
黒人の若者たちが商店を破壊して商品を略奪したり、警官に取り押さえられたりしている、この世の終わりのような悲しいニュース映像にこの曲が使われていたことが強く印象に残っている。
(Goro)