The Smiths
Hand In Glove (1983)
年中気が滅入るような曇り空で、食べ物もあまり美味しくなさそうなイギリスの工業地帯、マンチェスターの実家で無職のニート生活をしながら、ニューヨーク・ドールズのファンクラブの会長として会報を発行していたモリッシーは23歳、そのモリッシーが書く記事の読者だったジョニー・マーは19歳だった。
二人は出会い、モリッシーが書いた詩にマーが曲をつけてみたところから、この唯一無二の個性的なロックバンド、ザ・スミスが誕生した。
その独特のヴォーカル、独特のギター、独特のソングライティングは、あまりに個性が強すぎるので好き嫌いがはっきり分かれるほどだ。しかし好きになってしまえばとことん、熱狂的な支持者が多いバンドである。
この曲はザ・スミスのデビュー・シングルとして1983年5月に発売された。
焦燥感に駆られ、構成や完成度なんて無視して、衝動だけで歌われているような曲だ。
モリッシーはこの曲について次のように語っている。「『Hand in Glove』は初期スミスのすべてだった。愛、誇り、孤独、そして怒り。あれを書いたとき、僕は世界中の誰にも理解されないと信じていた」(Autobiography, 2013年)
そしてジョニー・マーは次のように語っている。「モリッシーと曲を作って、“これでいける”と感じた最初の瞬間だった。コード進行は単純だが、何か魔法があった」(Playboyインタビュー 1992年)。
わたしは、スミスが解散した直後くらいに彼らのことを知り、遡って聴いたのだけれども、好きになるのには少し時間がかかった。わたしがそれまで聴いていたものとあまりに違うものだったので、どう聴いていいかわからなかったのだ。
しかしこのなんだかわからない、熱に浮かされるような「魔法」を感じるこの曲を好きになってから、わたしにとってスミスは、80年代ロックで最も強く心に残るバンドのひとつとなっていった。
当時聴いていた音楽には、今でも聴けるものと聴けないものがあるけど、スミスの音楽は今でも違和感なく、普通に聴ける。
それは彼らの音楽が当時から流行とほとんど関係のないものであり、いつの時代に聴いても色褪せないオリジナリティを持っているからだろう。
(Goro)
コメント
ワタクシもGoroさんとほぼ同年代ですので、ザ・スミスにたどり着いた時には既に解散していました。今は良い時代で、当時のライブ映像がYouTube等で簡単に見ることができますが、グラスゴーか何処かでのライブにおける「HAND IN GLOVE」なんて、凄いとしか言いようがないですよね!
後追いでアルバムを揃える際、偶然バイト仲間にスミス狂のオトコがおり、「スミスを聴くのにCDなんぞ許せない」と言われ、給料日に一緒にアナログを買いに行かされた(その場にあった4枚を買わされました)おかげで、しっかりと聴き込むのに時間がかかってしまったのもよい思い出です(漏れたアルバムは、後日こっそりCDで揃えました)。
今となっては自身の心のバンド、TOP5に入っております。
ちなみにモリッシーのソロは2度ほど実際に観ました。それはそれでよかったのですが、やっぱスミス観たかったなあ!!
そしてこのバンドだけは再結成してほしくないなあ(笑)!!!
スミスはアナログでというのはまた、こだわりが強いですね(笑)
解散後ならもうCDの方が流通していた時代のはずですからね。
再結成はないでしょうね、たとえ1日限りのことでも。
頑固な人や根に持つタイプの人たちばかりのようなので(笑)