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The Smashing Pumpkins
“Siamese Dream” (1993)
スマパンのデビュー・アルバム『ギッシュ』はわたしにとって、あのオルタナが大豊作だった1991年のアルバムの中でも十指に入るお気に入りだった。
新人とは思えない完成されたサウンドで、オルタナ・ムーヴメントの中心的存在、と勝手に思っていたのが、最近知ったのだけれども、商業的には全米アルバムチャート195位と大失敗に終わっていたのだった。同じプロデューサーのブッチ・ヴィグによる、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』とは、対照的な結果に終わったというわけだった。
まったく解せない。あの名盤が売れなかったなんて。
本人たちも自信作だったようだが、思った以上に売れなかったらしく、次も売れなかったらもう終わり、という背水の陣で2ndアルバムの制作に臨んだということだ。プロデュースには再度ブッチ・ヴィグを起用し、リベンジに賭けた。
そして彼らは、前作を上回る傑作を作り上げた。それがこの『サイアミーズ・ドリーム』で、1993年7月にリリースされた。
スマパンが新しい次元に移行したことを一瞬で理解させる、鳥肌が立つようなオープニング・トラック「天使のロック」に始まり、2曲目は前作のスマパン・グルーヴをよりハードに進化させた「クワイエット」で熱狂させ、そして永遠の名曲「トゥデイ」へと続く。
6曲目の「武装解除」はアレンジにも凝った新境地だった。これもまた大好きな曲だ。
ここまで聴いただけで、このアルバムがこの年の屈指の名盤だということを確信したものだった。
ハードな重量感のあるサウンドだけでなく、ドリーミィな浮遊感もあり、良い意味でポップな聴きやすさも備わって、全体にバラエティに富み、音楽的な幅が一気に広がった。
全米10位、全英4位と商業的にも起死回生の大成功を収め、スマパンは生き残ったのだった。
↓ アルバムからの第1弾シングル「天使のロック」。米オルタナチャート7位のヒットとなった。
↓ 第2弾シングル「トゥデイ」。米オルタナチャート4位のヒットとなった。
(Goro)