スティーヴ・ミラー・バンド/ジョーカー (1973)【’70s Rock Masterpiece】

【70年代ロックの名曲】
Steve Miller Band
The Joker (1973)

スティーヴ・ミラー・バンドは1968年にデビューしたサンフランシスコのバンドだ。

1968年のサンフランシスコなんてサマー・オブ・ラヴでラヴ&ピースな花のサンフランシスコだったのだけれども、彼らはそんなお祭り騒ぎとは距離を置くように独自の音楽を創造する異端児だった。

この「ジョーカー」は8枚目のアルバムのタイトル曲で、全米1位の大ヒットとなった。

おれはギター弾き
ニヤニヤ笑って
愛が大好きで
罪なことばっかりやって
お天道様におれの曲を歌って聴かせるんだ

おれはペテン師で
タバコをプカプカ吸って
夜中にハッパを吸って
愛を求めて突っ走るんだ
(written by Steve Miller)

実にくだらない歌詞だけれども、それがまたいい。ロックなんてくだらなくていいのだ。

初めて聴いたときは、あんまりどこがいいのかわからなかったけれども、今はこの脱力感のあるヴォーカルや、リラックスしたアコースティック・ブルースのサウンド、どデカい怪鳥の雄叫びみたいなスライドギターなど、独特の世界がとても好きだ。

それにしても、これが全米1位になるなんて、自由な表現と、ユーモアと、激シブな音楽が受け入れられる、寛容で優雅な時代だったんだなあと思う。

今はもうとにかく真面目に、法令遵守なことしか口にしてはいけない時代だ。音楽も、元気がもらえたり、励まされたり、勇気づけられたりとか、そんなものばかりが求められているみたいだ。

みんな、そんなにくたびれてしまったのかな。

(Goro)