パブリック・イメージ・リミテッド/パブリック・イメージ (1978)

Public Image Ltd – Public Image – Vinyl (Newspaper Sleeve, 7 - 洋楽

【ポスト・パンクの名曲】
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Public Image (1978)

1978年1月14日、米国ツアーのサンフランシスコ最終公演を最後にセックス・ピストルズを脱退したジョン・ライドンは、その3か月後に新たなバンド、パブリック・イメージ・リミテッドを結成する。 ジョン・ライドンにとってのパンクは終わり、今度はポスト・パンク・シーンの牽引者となった。

このあたりのスピード感が凄い。
この時代の英国ロックシーンがすべて、ジョン・ライドンを中心に回っていたような気さえしてくる。

ギターのキース・レヴィン、ベースのジャー・ウォブルといった、ジョン・ライドンに負けず劣らずの個性派たちによるP.I.L.は、パンク・ロックの定型的なスタイルを打ち破ろうとしていた。

「パブリック・イメージ」は1stアルバムに先駆け、1977年10月にリリースされたP.I.L.のデビュー・シングルだ。

「お前たちは俺の言葉に興味を示さず、ただ着てる服や髪の色を気にしていただけだ」と歌われる歌詞は、セックス・ピストルズへの決別を歌ったものだという。「お前たち」とは、彼が書いて歌った歌詞の意味に、実際は興味もなかったピストルズのメンバーやマルコム・マクラレンなどの関係者を指しているとジョン自らが後に語っている。

アルバムの中でも数少ない、ポップ・ソングらしき体裁をした曲で、乾いたエイトビートに、壊れた電子楽器のような音のギターがキラキラと響き、強めのベースの反復がぐいぐいと押してくる。そしてもはやなんの感情もないような空っぽのヴォーカルが甲高くこだまする。

まるでいっさいの意味や感情を剥ぎ取ったような、透き通ったポップ・ソングのレントゲン写真みたいな歌だ。この異様な、メタリックな質感なのにペラペラの空洞みたいな感じがわたしは嫌いではない。クセになる。

なにも聴きたくない気分のときに聴くのにちょうどいい感じだ。

(Goro)