Jimi Hendrix Experience
Purple Haze (1965)
ジミヘンはわたしにとって永遠の謎だ。
素晴らしいギタリストは数多くいるけど、ジミヘンに似たギタリストはひとりもいない。
ジミヘンはまるで、肉体とギターとアンプとエフェクターが渾然一体となった、息をするように爆音を自在に操る畸形の怪物のようだ。まるで映画の『鉄男』みたいな。
見た目にはもちろんそうではないが、彼の頭の中はきっとそんなふうに違いない、と想像する。
この曲は1967年3月にイギリスで発売された、彼の2枚目のシングルだ(彼はアメリカ人だが、イギリスで活動していた)。全英3位の大ヒットとなり、彼の代表曲として広く知られている。
わたしはジミヘンのレコードがどれももうひとつ物足りない感じがしてしまう。
いや、この曲もめちゃカッコいい、それまでの誰にも似ていないギターが聴ける、独創的で画期的な曲だ。大好きな曲だ。
それでも、聴けば聴くほど、彼のレコードはどれも、当時の機材や録音技術の限界と、当時の人々の理解の範囲内に、小さくまとめられざるを得なかったのではないかと思えてくるのだ。
ヤツが本気を出したら、こんなもんじゃなかったんじゃないのか、と思ってしまうのだ。
勝手な想像かもしれないけれども。
もっと長生きしてくれていたらなあ、とも思う。
70年代ならどんなものを作っただろうか。80年代ならどんなサウンドを聴かせてくれただろう。あるいは、21世紀なら。
つくづく彼の夭折が惜しまれる。
↓ 参考までに、細野晴臣、忌野清志郎、坂本冬美によるユニット、HISによるカバー「パープル・ヘイズ音頭」。好きでも嫌いでも個人の自由です。
(Goro)