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Blur
“Parklife” (1994)
1994年4月は、オアシスがシングル「スーパーソニック」でデビューし、その2週間後にブラーの3rdアルバム『パーク・ライフ』がリリースされた。
これがその後の〈ブリット・ポップ・ムーヴメント〉を大いに盛り上げる役目を果たした、オアシスvsブラーの戦いの幕開けとなった。
〈ブリット・ポップ〉とは、1960年代のブリティッシュ・ビートやモッズ、70年代のグラム・ロック、パンク・ロックなどを手本にした若いバンドたちが90年代中頃から続々と出てきたムーヴメントで、音楽以外のカルチャーも巻き込みながら1994年に始まり1997年頃まで続いた。要は、英国らしい「ポップ要素強め」の王道ブリティッシュ・ロックへの回帰と言うべきものだった。
ブラーの3rdアルバムとしてリリースされた『パーク・ライフ』は、前作『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』で掴んだ方向性をさらに磨き上げ、英国の市井の人々の生活をポップなメロディーで歌った、キンクスが60年代後半から立て続けに発表したコンセプト・アルバムを手本にしたかのような作品だった。
【オリジナルCD収録曲】
1 ガールズ&ボーイズ
2 トレイシー・ジャックス
3 エンド・オブ・ア・センチュリー
4 パークライフ (スターリング・フィル・ダニエルズ)
5 バンク・ホリデー
6 バッドヘッド
7 ザ・デット・コレクター
8 ファー・アウト
9 トゥー・ジ・エンド
10 ロンドン・ラヴズ
11 トラブル・イン・ザ・メッセージ・センター
12 クローヴァー・オーヴァー・ドーヴァー
13 マジック・アメリカ
14 ジュビリー
15 ディス・イズ・ア・ロウ
16 ロット105
全英5位のヒットシングルとなった’80sエレクトロ・ポップのパロディみたいな「ガールズ&ボーイズ」で幕を開け、キャッチーな「トレイシー・ジャックス」、わたしがいちばん好きな「エンド・オブ・ア・センチュリー」と立て続けに名曲が続き、さらには皮肉なユーモアを込めながらもロンドンへの愛が伝わってくるタイトル曲「パークライフ」は「大勢の人々が手に手を取り合って生きていく」と明るくポジティヴに歌う。ノスタルジックなフレンチ・ポップス風の「トゥー・ジ・エンド」もまたいい。
虚無的で殺伐としたネガティヴな米オルタナティヴ・ロックの猛威に辟易していた英国リスナーにとって、ブラーのこのアルバムとオアシスの登場はロックシーンの空気をポップでポジティヴなものに一変させ「英国ロックの逆襲」として大歓迎された。
やはり中心的存在が2組いると盛り上がるものだ。どっち派だとか、けなし合ったりとか、リスナーもメディアも、より過熱していく。まあ、わたしはオアシス派だったが、今あらためて聴くとブラーは2ndも良いし、本作の明るいポジティヴな空気、バラエティに富んだ楽曲、ひねりがありながらキャッチーなソングライティング、ちょうどいい感じのユーモアなど、ブラーの良いところが全部出ていてあらためて感心する。
アルバムはブラーにとって初の全英1位を獲得し、その年のブリット・アワードではオアシスを抑えてベスト・アルバム賞ほか、史上最多となる4部門を受賞した。
タイトル曲「パークライフ」は全英10位のヒットとなり、その年のブリット・アワードでシングル・オブ・ザ・イヤーとビデオ・オブ・ザ・イヤーを受賞した。サッカーの試合会場で演奏される定番の曲にもなり、ブリット・ポップを象徴する曲となった。
↓ タイトル曲「パークライフ」。コックニー訛りのセリフ部分を担当したのは1979年のイギリス映画『さらば青春の光』で主人公のジミーを演じた俳優フィル・ダニエルズだ。
↓ 全英19位のヒットとなった「エンド・オブ・ア・センチュリー」。本作中ではいちばん好きな曲だ。
(Goro)
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