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The Allman Brothers Band
“The Allman Brothers Band” (1969)
ギターのデュアン・オールマン (兄)と、ヴォーカルのグレッグ・オールマン (弟) の二人を中心として結成されたので、オールマン・ブラザーズ・バンドだ。
曲は弟グレッグが書いているが、しかし彼らの音楽の核になっているのはやはり兄デュアンである。彼は天才的なギタリストであり、バンド内でもカリスマ的な存在であったという。
デュアンはサザン・ソウルの殿堂、アラバマ州マッスルショールズのフェイム・スタジオでアレサ・フランクリンやウィルソン・ピケットなどのレコーディングに参加していたスタジオ・ミュージシャンだった。その関係で知り合ったミュージシャンたちと、ロサンゼルスで活動していた弟グレッグを呼び寄せて組んだのがこのバンドだった。
彼らが史上初の「サザン・ロック」と呼ばれるようになったのはそんな経緯からだが、メンバーは全員がブリティッシュ・ビートに強い影響を受けていたという。
彼らの音楽性はブルースを基調にした、一見いかにも南部男児のイメージ通りの、無骨で豪放な男臭い印象だ。ツインギターの大胆でパワフルなリフに合わせて生き物のようにうねるバンドサウンドはしかし豪快なだけでなく、洗練されたスマートな印象も同時に与える。それはいかにもスタジオ・ミュージシャンたちらしい、緻密で完璧なアンサンブルによるものだろう。
本作は1969年11月にリリースされた、彼らの1stアルバムだ。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 ドント・ウォント・ユー・ノー・モア
2 ノット・マイ・クロス
3 腹黒い女
4 トラブル・ノー・モア
SIDE B
1 ハングリー・ウーマン
2 夢
3 ウィッピング・ポスト
A1がスペンサー・デイヴィス・グループのカバー、そしてA4がマディ・ウォーターズのカバーで、それ以外はグレッグ・オールマンの作である。
わたしはとくにA3「腹黒い女」、A4「トラブル・ノー・モア」あたりが好きだ。
本作は全米アルバムチャート最高位188位と、セーメス的には芳しくなかった。
しかし、2nd、3rdと、着実にセールスを伸ばし、N.Y.やL.A.を経由せず南部から直接出てきたロックバンドとしては初めて成功を得ることになる。
このバンドはツイン・ドラムという変わった編成なのだけれども、これはデュアンがジェームス・ブラウンのステージを見て、応用したものだという。
ドラムが2セットあればよりパワフルになるのは間違いないだろうけれども、やはりドラムにもリード・ドラムとサイド・ドラムがあるのだろうか。聴いただけではわたしにはイマイチよくわからないのだけれども。
↓ 彼らのデビュー・シングルにもなった「腹黒い女」。
↓ マディ・ウォーターズのカバー「トラブル・ノー・モア」。
(Goro)