⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
Oasis
“(What’s The Story) Morning Glory?” (1995)
本作はたったの12日間で録音されたという。
オアシスのドキュメンタリー映画『スーパーソニック』にも本作のレコーディング映像が出てきたが、「シャンペン・スーパーノヴァ」をリアムがたった1回歌っただけで、コントロール・ルームにいるノエルが「OK、サッカーを見に行っていいぞ」と告げ、リアムは「やった!」とそそくさとスタジオを出ていくシーンがある。こんな調子なのか、と驚いたものだ。そりゃ速いだろうなと思う。
1995年10月にリリースされた本作で、オアシスは90年代英国ロックの頂点に立ち、その名はロック史において永久に不滅となった。
ブリット・ポップ・ムーヴメントは絶頂を迎え、90年代ロックが競い合った轟音ギターもここに極まり、80年代のインディ・ロックや70年代のパンク・ロックの精神が聴こえ、60年代のブリティッシュ・ビートのメロディが聴こえる、さながら英国ロック史の集大成のようなアルバムである。
【オリジナルCD収録曲】
1 ハロー
2 ロール・ウィズ・イット(全英2位)
3 ワンダーウォール(全英2位、全米8位)
4 ドント・ルック・バック・イン・アンガー(全英1位)
5 ヘイ・ナウ!
6 アンタイトルド
7 サム・マイト・セイ(全英1位)
8 キャスト・ノー・シャドウ
9 シーズ・エレクトリック
10 モーニング・グローリー
11 アンタイトルド
12 シャンペン・スーパーノヴァ
全米8位とアメリカでも大ヒットした「ワンダーウォール」はオアシスの代表曲となり、それに勝るとも劣らない感動的な「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」もまた甲乙つけ難い名曲だ。
当初からノエルは、「ワンダーウォール」と「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」のどちらかを自分で歌いたいと思い、リアムに「どちらか選べ」と言い、リアムが前者を選択したため、ノエルが後者でリード・ヴォーカルを取ることになったという。
他にも、タイトル曲の「モーニング・グローリー」、全英1位のヒットとなった「サム・マイト・セイ」、そして「シャンペン・スーパーノヴァ」と、シングル・カットはされなかったが「キャスト・ノー・シャドウ」など、名曲揃いのアルバムだ。「アンタイトル」と題された短いインストを除いた全10曲の全てがシングル・カットできそうなクオリティである。
全英1位、全米4位、日本のオリコンでも総合8位まで上昇する世界的ヒットとなり、2,200万枚以上を売り上げた。
まさに、90年代英国ロックの金字塔である。
そして、わたしにとっては、ひとつの時代の終わりを告げたアルバムだった。
わたしはこのとき、29歳になっていた。
十代を過ごした80年代は、60年代や70年代のロックを聴き、1989年にストーン・ローゼスが登場した頃からリアルタイムの洋楽ロックにハマり直し、英国インディ系や米国オルタナ系を聴き漁り、最新のロック・シーンを追いかけてきたが、このアルバムを聴いたときに、もうそれも終わりかなと思った。もうこれ以上のものはたぶん出てこないだろうと思ったからだ。
そう思うと、本当に新しいCDを買う気がしなくなり、そろそろ潮時だなと思い、なんとなくこれからの人生のことなども考え始めた。
わたしの青春が終了した瞬間だった。前に進むべき時だったのだ。
わたしは、給料が安く、将来性の無さそうな映画館の仕事を思いきって辞めてみた(実際、映画館は数年後に閉館した)。しかし、個人で配送の仕事を始めてみたものの思うように稼げなかったり、いろんなバイトに挑戦してみたものの、世間知らずで身の程知らずのわたしにはどれもうまくいかなかった。
2年ほどの間、迷走に迷走を重ね、消費者金融の借入額も雪だるま式に増えていき、付き合っていた彼女にも愛想を尽かされた頃、ビデオとCDのレンタルショップで働く事にした。それは東海地方と関西地方にまたがるチェーン店で、その会社に正社員として就職した。その仕事はわたしに合っていたようで、わたしはこの新しい仕事に真剣に取り組んでみることにした。
ロックを追いかけることはもうやめていた。そのかわりに仕事上の必要から、J-POPを聴きまくった。ついでに読書の習慣も断つことにした。親友と組んでいたバンドもやめて、カート・コバーン・モデルのフェンダー・ジャグスタングは弦が切れたままケースに納められ、20年後に娘に譲るまで二度と開けられることはなかった。寝ても覚めても仕事のことを考え、猛スピードで仕事を覚えて、怒涛の勢いで出世して、新たな会社員人生を思いっきり楽しむのだ、と心に決めたのだった。
↓ 先行シングルとして95年4月にリリースされた「サム・マイト・セイ」。全英1位の大ヒットとなった。
↓ ノエルがヴォーカルを取った「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」は、ポール・マッカートニーも絶賛した。全英1位となり、バンドの代表曲となった。
(Goro)


