
⭐️⭐️⭐️⭐️
The Auteurs
“New Wave” (1993)
大好物、見っけ。
という感じの出会いだった。
イギリス以外の何者でもない、陰鬱さと抒情性と耽美、そして不意に現れる暴力性。
サーヴァンツというバンドのギタリストだったルーク・ヘインズが、バンドの解散(たぶん売れなかったということだろう)後に、ひとりで自宅に閉じこもって曲を書き上げ、当時の恋人だったアリス・リードマンをベーシストに、かつての級友グレン・コリンズをドラマーに迎えてロンドンで結成したのがこのオトゥールズだ。
本作は彼らのデビュー・アルバムとして、1993年2月にリリースされた。
【オリジナルCD収録曲】
1 Show Girl
2 Bailed Out
3 American Guitars
4 Junk Shop Clothes
5 Don’t Trust The Stars
6 Starstruck
7 How Could I Be Wrong
8 Housebreaker
9 Valet Parking
10 Idiot Brother
11 Early Years
12 Home Again
何しろ、ルークの個性的なソングライティング、彼が弾くギター、彼が弾くピアノの、どれもこれもがいい。
バンドを失ったことで鬱屈していた状態だった本人は「ポップシーンへの復讐として完璧なアルバムを作ろうとした」と語る通り、完璧と言っても過言ではない出来である。チェリストを迎え、ストリングスを導入したクラシカルなアレンジもまた良い。
あえて近い印象のものを挙げるとすると、初期のデヴィッド・ボウイあたりを彷彿とさせる。当時から見れば、流行に乗らない、異分子のような音楽性だが、英国の伝統に立ち帰ったと言えなくもない。
この93年はスウェードの1stやブラーの2ndが注目を集めることになるが、それらより少し早くこのオトゥールズは、静かに寄せる新しい波のように、ブリット・ポップへと続く扉を開いたと言えるだろう。
全英35位と、大ヒットとまではいかなかったけれども評価は高く、オール・ミュージック誌は「90年代UKロックの中で最も過小評価されたデビュー作」と評している。
↓ デビュー・シングルとなった「Show Girl」。ひねくれポップながら、静かな感動を呼ぶ。
↓ アコギとピアノと歌声の儚い美しさに酔える「Junk Shop Clothes」。
(Goro)