UFO『現象』(1974)【最強ロック名盤500】#207

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【最強ロック名盤500】#207
UFO
“Phenomenon” (1974)

UFOは1970年にデビューした英ロンドン出身のバンドだ。

UFOという名前でなんとなく想像がつくように、1stと2ndアルバムは当時地味に流行した「スペース・ロック」というやつを標榜していたものの、鳴かず飛ばずだった。

さらに1972年が明けた頃、オリジナルメンバーでギタリストのミック・ボルトンが他のメンバーと口論の末、失踪する形でバンドを脱退した。

スペース・ロックというスタイルにも限界を感じていたバンドは、よりハードなギターが弾ける新ギタリストを探し、何人か試した後、73年6月に元スコーピオンズのマイケル・シェンカーを迎えた。彼は当時たったの18歳だったが、その凄腕にバンドは驚嘆した。

本作はそのマイケル・シェンカーを迎えて初めて製作され、1974年5月にリリースされた3rdアルバムだ。

【オリジナルLP収録曲】

SIDE A

1 トゥー・ヤング・トゥ・ノー
2 クリスタル・ライト
3 ドクター・ドクター
4 スペース・チャイルド
5 ロック・ボトム

SIDE B

1 オー・マイ 
2 タイム・オン・マイ・ハンズ
3 ビルト・フォー・コンフォート
4 リップスティック・トレーシス
5 クイーン・オブ・ザ・ディープ

わたしはこのアルバムを7年前に初めて聴いた。飲み屋で知り合いに会ったときに薦められたのだ。

当時は、ハード・ロックはどちらかと言うと苦手なジャンルだったが、聴いてみると、オープニングの「トゥー・ヤング・トゥ・ノーのなんだかクネクネした艶っぽいギターのイントロに只事ではないゾワッとするものを感じて一気に引き込まれた。

これは面白いギタリストを見つけたぞ、ブログに書こうと、ギタリストの名前を調べてみたら、マイケル・シェンカーだったのだ。

マイケル・シェンカーの名前ならわたしも知っている。わたしが十代の頃から、ロック好きには「神」などと呼ばれて人気があったギタリストだ。三十数年の時空を超えてようやくわたしの耳にも届いたのだった。

彼のギターはリズミカルでキレがありながら、クネクネ、ウネウネと艶めかしかったりと独特な魅力があるが、エレキでもアコギでも、音色がなにしろいい。

本作はそのマイケル・シェンカーの存在感がものすごく大きなアルバムだ。
A1とB3以外のすべての曲で曲作りも主導し、A3「ドクター・ドクター」やA5「ロック・ボトム」が象徴するように、70年代ハード・ロックの王道へとシフトした。

本作にはしかしB2「タイム・オン・マイ・ハンズ」のようなカントリー・ロック調の曲があったり、哀愁漂うA4「スペース・チャイルドや、B4「リップスティック・トレーシス」のようなスローなインストがあったりと、方向転換の過渡期という理由もあるだろうけれども、結果的に硬軟入り混じった構成となっているのがわたしにはむしろ好ましい。

↓ バンドの代表曲となった「ロック・ボトム」。

↓ シングル・カットされた「ドクター・ドクター」。アイアン・メイデンによるカバーでも知られている。

(Goro)

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