The Cure
The Caterpillar (1984)
2019年のフジ・ロックの大トリを務めたのがキュアーだったと聞いたときには驚いたものだ。
いつからそんなにエラくなったのか。
そして若者たちは大丈夫なのか、キュアーなんかで。あんな暗いオッサンたちで。
というのが、失礼ながらリアルタイムで彼らを聴いていたわたしの率直な感想だった。
しかしネットの感想なんかを見るとそのフジ・ロックのライヴ・パフォーマンスが高く評価されていて、よかったよかったと胸をなでおろした。
1984年リリースの5thアルバム『ザ・トップ』からシングル・カットされたこの「キャタピラー」は、全英14位まで上がるヒットとなった。
ちょうどロバート・スミスがスージー&ザ・バンシーズのギタリストを掛け持ちしていた頃であり、しかもキュアーのほうはメンバーが全員辞めてしまい、アルバム制作ではドラム以外の楽器をすべてひとりで演奏するというソロ・プロジェクト状態となり、さらにはドラッグの影響もあって、もうへとへとのヘロヘロな状態であったらしい。
アルバムにはそんな影が覆っていて、なんだか不安定な印象である。
しかしこの「キャタピラー」は、この時代のキュアーとしては数少ない明るい印象のナンバーだ。ヴァイオリンがキーキーと軋む音や、軽快なパーカッションが印象的な、明るいゴスだ。
PVは相変わらず『シザーハンズ』の世界観で、まあ1990年公開のあっちのほうが後なのだけれど、リアル・シザーハンズがこの頃はまだずいぶんと可愛い感じである。
(Goro)