The Clash
I Fought the Law (1979)
カバー曲の選曲と、それをどう料理するかという手腕は、そのバンドの本質的なセンスが浮き彫りにされるものだ。
その点このクラッシュはカバー曲の選曲も絶妙であるし、そのアレンジも原曲を超えた魅力的なものになっていることが多い。
ただの勢いだけのパンク・バンドで終わらなかったクラッシュは、そのセンスの良さでやはりズバ抜けたものがあったのだ。
2nd『動乱(獣を野に放て)』と3rd『ロンドン・コーリング』のちょうど谷間となる、1979年5月にリリースされた4曲入りEP『コスト・オブ・リヴィング EP』(The Cost of Living)に収録されたこの曲は、ザ・クリケッツのカバーである。
ザ・クリケッツはバディ・ホリーのバンドだが、彼が事故死した後もソニー・カーティスというヴォーカリストを入れて活動が続けられた。この曲はそのソニーが書いて、1959年に発表したものだ。
「拳銃で人を襲った。金がなくて仕方がなかったんだ」などと歌い、“I fought the law and the law won”(俺は法と闘った、しかし勝ったのは法だった)とリフレインが繰り返される。
クラッシュの最大の武器である、ジョーの男臭いヴォーカルとミックの少年のように透き通ったコーラスのコントラストがいい、シンプルでパワフルでテンションの上がる名カバーだ。
↓ ザ・クリケッツによる1959年のオリジナル・バージョン。
(Goro)