Silverhead
Ace Supreme (1972)
フランス人の血を引くイギリス人のマイケル・デ・バレスは、演劇学校を卒業後、自身で書いたいくつかの曲を持参して、1972年にEMIとソロ・シンガーとして契約を結んだ。
そして、メロディ・メーカー誌に「エロティックでリラックスしたミュージシャン求む」とメンバー募集広告を出し、応募してきた4人と共に結成したのがシルヴァーヘッドだった。
6週間という短期間のリハーサルを済ませ、レコーディングを終えると、1stアルバム『恐るべきシルヴァーヘッド』をリリースした。
イギリスでは売れなかったが、日本では東芝EMIの強力なプロモーションが功を奏して大人気となった。音楽雑誌の人気投票でも上位にランクインし、日本のみでライヴ盤が発売されるなど、日本のオールドファンにはよく知られたバンドだ。
日本では当時大流行中のグラム・ロックに括られたが、彼らはややハード・ロック寄りのスタイルで、デヴィッド・ボウイやT.レックスとは音楽性を異にしていた。どちらかと言えば、ニューヨーク・ドールズやハノイ・ロックスなどを彷彿とさせるようなバンドだ。
翌73年に2ndアルバム『凶暴の美学』をリリースするも商業的成功は得られず、1974年に解散した。マイケル・デ・バレスはその後、俳優として映画やTVドラマに数多く出演し、ベーシストのナイジェル・ハリスンはニューヨークのバンド、ブロンディに加入した。
エンターテインメント色が濃く、「時代のあだ花」感が強い、愛すべきフェイク・ロックだ。
もちろん褒め言葉のつもりだが、フェイク・ロックが言い過ぎなら二流のロックか。
一流にはなれなかったけれども、三流というほどでは決してない。
そりゃまあ「一流さえ聴いてれば充分」と言われればそれまでだけど、二流は二流として楽しめれば、そりゃもう一生退屈することはありません。
↓ デビュー・シングルの「エース・スプリーム」。
(Goro)