ティーンエイジ・ファンクラブ/エヴリシング・フロウズ (1990)

今日の1曲「Everything Flows / Teenage fanclub」 | ひなぎくの映画日記

【90年代ロックの快楽】
Teenage Fanclub
Everything Flows (1990)

1990年6月にペーパーハウス・レコードからリリースされた1stアルバム『カソリック・エデュケイション(A Catholic Education)』収録曲で、彼らのデビュー・シングルだ。

ティーンエイジ・ファンクラブと言えばこういう感じね、というシンボリックな代表曲になった。その後のライヴでも必ずラストに演奏されたという。

この肩の力の抜けた感じと低いキー、速過ぎないフォーク・ロック風のテンポ、初めてギターを手にした少年が嬉しすぎて延々とストロークでかき鳴らしているような高揚感、そんな非プロフェッショナルな感じが当時は新鮮で、凄く良かった。こればっかり中毒みたいに聴いていた頃もあった。

1992年のレディング・フェスティバルは、トリを務めたニルヴァーナのパフォーマンスがちょっとした伝説みたいになっているけれども、実は他にもスマパンやマニックスやこのTFCなど、素晴らしいパフォーマンスがたくさんあった。なぜかケーブルテレビの音楽チャンネルで放送されたので、わたしは180分のビデオテープに録画して何度も繰り返し見たものだ。

TFCはこの1曲のみの放送だったけれども、観客との一体感が素晴らしかった。なんだかグッと来て、胸が熱くなったのを覚えている。6.5畳のワンルーム・アパートの部屋で。

1990年と言えば、前年にベルリンの壁が崩壊し、翌年にはソビエト連邦と東欧諸国も崩壊して、共産主義の時代が終わりを告げた。そして、イラクvs西側諸国による湾岸戦争が始まった。日本では平成の時代が始まり、バブル経済は崩壊して、加速度的に景気が悪化していった。

「すべてのものが流れていく、僕はどうなっていくのか見当もつかない」と歌うこの曲は、あの大きな変化が起こりつつあった時代の空気に共鳴し、さらには当時24歳のわたしの、今の自分はまだ本当の自分じゃない、なんてそろそろ言ってられなくなってきた焦りや不安の気分にも共鳴していたのかもしれない。

(Goro)