
Pearl Jam
Even Flow (1991)
当時「グランジ」と呼ばれたのは、それ以前の80年代に流行した見栄えも華やかでカッコいいライト・メタル・バンドたちとなにもかも真逆の、歪んだギターと荒っぽいサウンド、見た目も小汚いバンドたちだった。
特にシアトルのサブ・ポップ・レーベル出身の、ニルヴァーナ、マッドハニー、パール・ジャム、サウンドガーデン、アリス・イン・チェインズ、L7などは、それぞれ音楽性も違ったものの、すべて一括りに「グランジ」と呼ばれたものだ。
音楽マスコミなんてそんなものだ。無理やり括って「ムーヴメント」にしたがる。そのほうが記事にしやすいからだ。そして、われわれリスナーもそれに乗りたがる。
そんな風に「グランジ」は、パンクもハード・ロックもメタルも一緒みたいな乱暴な括りだったため、ニルヴァーナのカート・コバーンは「パール・ジャムなんかと一緒にしないでほしい」とはっきり言っていた。
しかしパール・ジャムのフロントマン、エディ・ヴェダーは実はいいやつで、ニルヴァーナが大好きだったため、カートの発言にはめちゃくちゃ落ち込んでしょんぼりしていたものだ。
たしかにニルヴァーナとパール・ジャムはまったく似ていない。
ニルヴァーナがパンクやハードコアから進化したオルタナ・ロックだったのに対して、パール・ジャムは70年代ハード・ロックを下敷きにした、まったく方向性の違うものに聴こえた。
ライヴでは派手なパフォーマンスをほとんどしないニルヴァーナに対して、パール・ジャムはロック的なパフォーマンスが上手かった。
この曲は彼らの1stアルバムに収録された、2枚目のシングルだ。米メインストリーム・ロック・チャートの3位まで上昇した。
パフォーマンスもカッコ良く、エネルギッシュでパワフルな彼らの良さがよく出ている。
(Goro)