【16年ぶりの再結成】演ってくれたな、オアシス。

そうか。本当に演ったか。よかった、よかった。

なんというか、家業をほったらかして職を転々としながらフラフラしてるらしいと聞いていた従兄弟たちがようやく戻ってきたわ、という話を聞いてちょっとホッとしたような親戚の気分に近いかもしれない。

ノエルはわたしよりひとつ年下で、リアムは6歳下だ。少しだけ年下の同世代で、デビューからリアルタイムで聴いていたバンドだ。当時はその他大勢と共に「ブリット・ポップ」なんていう括られ方をしていたけれども、今思えば、その他大勢の中にオアシスに比肩するようなバンドなんてひとつもなかった。別格だった。

去年から大騒ぎしていた彼らの再結成のニュースだったけれども、昨日ついに、本当に、英国カーディフで初の再結成ライヴを行った。どうせ、また兄弟喧嘩して中止になるのだろうなというわたしの予想は見事にハズれたわけだ。

昨夜のNHKのニュースでもこの公演を取り上げていたのには驚いた。リアルタイム世代だけでなく、現代の若者にもオアシスは人気があるという。正直、解散したバンドが再結成するなんて話は珍しくもなんともないけれども、これほどの騒ぎになるなんて、わたしが思ってるよりもっと別格で、もっと人気があるんだなと再認識させられたほどだ。

ただ、音楽的には別格なのに、当時はブラーなんかと人気を分け合っていたのは、あの頃のギャラガー兄弟の不遜な態度や言動がずいぶん反発や顰蹙を買ったせいもあるのだろう。ブラーのデーモンはもとよりその彼女に対してまで穢らわしくもおぞましい暴言を吐いたりもして、インタビュー記事に「◯◯◯◯」や「✖️✖️✖️✖️」なんて伏字が頻発したものだった。

まあわたしは英語がわからないので、ギャラガー兄弟の不遜な態度や暴言といってもピンと来ていなかったが、日本で言えばたぶんボクシングの亀田兄弟の全盛期の頃の感じに近いのではないかと想像する。確かに、あんな感じだったらちょっと聴いてみようとは思わないかもしれない。わたしは英語ができなくて、本当に良かったと思う。

今の若い子たちにはギャラガー兄弟のそんな悪行までは伝わっていないと思うので、純粋に音楽だけで好きになっているのだろう。

【初日のセットリスト】

Hello
Acquiesce
Morning Glory
Some Might Say
Bring It on Down
Cigarettes & Alcohol
Fade Away
Supersonic
Roll With It
Talk Tonight (sung by Noel)
Half the World Away (sung by Noel)
Little By Little (sung by Noel)
D’You Know What I Mean?
Stand By Me
Cast No Shadow
Slide Away
Whatever
Live Forever
Rock ’n’ Roll Star

アンコール
The Masterplan (sung by Noel)
Don’t Look Back in Anger (sung by Noel)
Wonderwall
Champagne Supernova

もう何千回聴いたかわからない大名盤『モーニング・グローリー』のオープニング・トラックなのにイマイチどんな曲だったか思い出せないほど印象が薄い「hello」からのスタートだったが、観客が一気に盛り上がり、そして涙したのは、兄弟が交代で歌うその次の「Acquiesce」だったに違いない。Xの公式アカウントに投稿されたたった30秒の映像を見ただけで、わたしも思わずグッときてしまった。ノエルもちゃんと歌えててよかった。

セット・リストは、初期のほうに選曲が偏ってるけれども、ファンが聴きたい曲が全部揃っている。それでいいのだ。再結成ライヴなのに、変に凝った選曲をされるぐらいがっかりすることはない。

ちなみにこの日のサポート・アクトは元ヴァーヴのリチャード・アシュクロフトで、全6曲の最後に「ビター・スウィート・シンフォニー」を演ったらしい。これはこれでまたグッときた人も多かったのではないか。

10月には日本でも東京ドームで2日間の公演が決まっている。わたしは残念ながら行けないけれども、オアシスの全盛期にまだ生まれてなかったような若者たちなんかがたくさん観に行ってくれるといいなと思う。

それまでに58歳の兄貴と53歳の弟がくだらない兄弟喧嘩をしないことを願うばかりだ。

(Goro)