
The Jesus & Mary Chain
Head On (1989)
英スコットランド出身のジムとウィリアムのリード兄弟を中心としたバンド、ザ・ジーザス&メリー・チェインは1984年にデビューした。
デビュー・シングルは「アップサイド・ダウン」という、耳をつんざくフィードバックノイズの彼方から演奏が聴こえてくるという、衝撃的で中毒的なナンバーだった。
この曲は彼らの3rdアルバム『オートマチック』に収録された曲で、シングル・カットもされた。
もちろん世間的にはまったくヒットなんてしていない。しかしわれわわれのような英国インディー・ロックや米国オルタナ・ロックの界隈を溜まり場にしていたリスナーの間では、エポック・メイキングな名曲として知られる、時代のアンセムである。
前作からベーシストが脱退し、ドラマーのボビー・ギレスピーも脱退してプライマル・スクリームをつくりに行ってしまったので、ベースもドラマーも不在、リード兄弟ふたりだけで作ったアルバムだった。きっと彼らは友だちを作るのが下手なタイプなのだ。わたしと同じだな。
ライヴで観客が暴動を起こしたり、「JESUS, FUCK」という曲をシングルにしようとして怒られたりと、なにかと炎上する人たちだったので、あまり人が寄り付かなかったのかもしれない。
彼らは決して天才肌のミュージシャンではないと思う。
どちらかというとパンク・ロッカータイプで、自分たちのできる範囲で新しい表現にチャレンジした、プライマル・スクリームなんかもそうだけど、われわれリスナーと同じ立ち位置にいるような、ミュージシャンというよりリスナー代表みたいな印象だ。もちろん良い意味で。
こ曲はあまり奇を衒わず、ノイズ抑えめで歌メロをしっかり書いて、カッコよくロケンロールにチャレンジした感じだ。
だけど人手不足なのでドラムとベースが打ち込みになった。あの時代にはそれが新鮮に聴こえたということはあったけれども、しかし今アルバム『オートマティック』を聴いてみると、せっかく良い曲を結構書いてるのに、打ち込みサウンドのせいか、やはり無機的で単調に聴こえるのは否めない。
まあアルバムはともかく、このかっこいいロケンロール「ヘッド・オン」は名曲だ。わたしはジザメリの中ではこの曲が一番好きなのだ。
↓ ピクシーズによるカバー。これまためちゃかっこいい。
(Goro)
コメント
彼等のアルバムでは2ndと、この3rdが好きです。
世間的には1stと4thですが(笑)。Goroさんの言う通り、リズムがどうしても単調で飽きてしまうことがあるのですが、いい曲が本当に多いんですよね。
メリーチェインズとの最初の出会いが3rdだったことも大きいかも。
僕のお気に入りはハー・ウェイ・オブ・プレイングと、ハーフウェイ・トゥ・クレイジーです♪
あ、ちなみに1992年、ハニーズ・デッドの来日ツアーの折は、クラブチッタ川崎での4日間、毎日行きました(汗)。