ブラック・フラッグ/TVパーティー (1981)

Damaged

【80年代オルタナティヴ・ロックの名曲】
Black Flag
TV Party (1981)

ブラック・フラッグは1978年にデビューした、カリフォルニアのハードコア・パンク・バンドだ。ヴォーカルは、後の90年代にロリンズ・バンドを結成して再びシーンの前線で活躍することになる、ヘンリー・ロリンズだ。

この曲は、1981年11月にリリースされた1stアルバム『ダメージド』に収録された曲だ。

彼らの音楽は後輩たちに大きな影響を与えたことで知られる。

それは、ハードコア・パンクを標榜しながらも、必ずしもスピードや音圧にこだわらなかったところが大きい。特に異色なこの曲などはポップな要素すらある。

今日は一晩中テレビを見ながらパーティーだ
これ以上楽しいことがあるか?
外に出たって怖いだけだし、頭も使わなくていい
こんな最高なことってないだろ?
なぬ!?
テレビが壊れた!?
何したらいいんだあっ!?
(written by Greg Ginn)

社会派なのかバカなのかよくわからない歌詞だ。

ひとり残らず足が臭いやつらが集まった体育会系のノリみたいな、野太いコーラスはまるで宴会の真っ只中である。

リーダーでギタリストのグレッグ・ギンが書いた曲だが、彼はこの3年ほど前にインディ・レーベル「SST Records」を設立しており、彼らのレコードももちろんこのレーベルからリリースされている。

このレーベル「SST」は地下ロック界隈の名店となり、ソニック・ユースやダイナソーJr、ハスカー・ドゥ、ミート・パペッツ、バッド・ブレインズなどが育ち、米国アンダーグラウンドシーンの核となるサウンドや方法論が形成されていく。

バンド名となっている「黒旗」はアナーキストの旗なんだそうだ。

言わば、ブラック・フラッグは米国アンダーグラウンド・シーンのゴッドファーザーであり、その黒い旗はシーンのシンボルとも言えるだろう。

ポップな骨組みに、ハードコア的なサウンドをぶち込んだ新種のロックは、それがそのまま90年代ロックのフラッグとして、引き継がれていく。

Black Flag – TV Party

(Goro)