The Rolling Stones
side A ノット・フェイド・アウェイ(バディ・ホリーのカバー)
side B リトル・バイ・リトル(オリジナル)
ザ・ローリング・ストーンズの3枚目のシングルは、1964年2月にリリースされた。
「ノット・フェイド・アウェイ」はバディ・ホリーのカバーだ。1957年のヒット・シングル「オー・ボーイ」のB面に収録されていた曲だ。
原曲はボ・ディドリーが発明した〈ジャングル・ビート〉に影響を受けたものだが、ストーンズはこれをさらに思いっきりボ・ディドリー風にして、ジャングルの熱い空気と泥と木の葉が飛び散るような激しいアレンジにしている。これでついに英シングルチャートの3位まで上がるヒットとなった。
このヒットでいよいよストーンズの名前も大西洋を渡り、1ヶ月後にはアメリカでのデビュー・シングルとしてリリースされた。全米シングルチャート48位という、米国進出の静かな1歩となった。
このときすでにバディ・ホリーが飛行機事故で世を去って5年が経過しており、他のロックンロール・オリジネイターたちも、交通事故死したり、引退したり、スキャンダルで凋落したり、兵役に行ったり、逮捕されたりと、大人たちから目の敵にされた米国のロックンロールは見事なまでに排斥され、絶滅に追いやられたと言っていい状態だった。
もしかすると、このストーンズの「Not Fade Away(決して色褪せない)」と歌うカバーを聴いて、当時のアメリカの若者たちの中には、「ワオッ! ロックンロールはまだ死んでないぞ!」と歓喜した者もいたのかもしれない。
ちょうどこのシングルがリリースされた頃、ビートルズはアメリカに初上陸し、エド・サリヴァン・ショーに出演して一大旋風を巻き起こしていた。
これにストーンズが続く形になり、“ブリティッシュ・インヴェイジョン(英国の侵略)”と呼ばれた、米国のヒットチャートがイギリス勢で埋め尽くされていく現象が始まっていく。
この「ノット・フェイド・アウェイ」は当時のストーンズのライヴのオープニング・ナンバーとして演奏される定番曲となった。
B面の「リトル・バイ・リトル」はオリジナル曲だ。バンドと共にフィル・スペクターもソングライターとしてクレジットされている。べつにフィル・スペクターっぽい感じはしない、ブルース風の曲だが、この時期のオリジナル曲はまだまだ発展途上という感じだ。
ストーンズが60年代にリリースしたシングルはこの『シングル・コレクション:ザ・ロンドン・イヤーズ』で年代順にA面・B面ともすべて聴くことができる。ストーンズ・ファン必携のアルバムだ。
(Goro)