⭐️⭐️⭐️⭐️
“England Is Mine”
監督:マーク・ギル
主演:ジャック・ロウデン
【※ネタバレあり】
ザ・スミスのモリッシーの悩める青春時代、ジョニー・マーと出会うまでの物語だ。
わたしは、内向的で、人見知りで、暗いやつが好きだ。
モリッシーもそのタイプだったのは知っていたので、どれほどのもんだろうと興味津々で見たのだけれど、期待を上回るディープな引きこもり野郎で、嬉しくなってしまった。
わたしも本ばかり読んで、音楽ばかり聴いて、人付き合いが苦手な人見知りの内向的な若者だったけれど、少なくとも働いてはいたし、女の子と付き合ったりもしていた。
でもモリッシーはまともに働きもしないし、なんとか就職しても、毎日遅刻するわ、簡単な仕事も出来ないわ、仕事中にサボって姿を消すわ、そしてクビになるわで、ひどいものだ。挙句には職安で希望の業種に「歌手」と書いて、呆れられる。
そんな状態でも、自分はまだ発掘されていない天才で、自分以外の人間はすべてバカだと信じて疑わない。イタいイタいイタい。イタすぎる。
まあ、それは若い頃のわたしも似たようなものだったので、よーくわかるけれども。
でもまあそんなイタい自分を貫いたやつが結局、80年代の英国ロックを代表するロックスターになるのだ。
なにがどうなるかなんて、ホント、わからないものだ。
モリッシーは、世界中の引きこもりたちに夢と希望を与えた、引きこもり界最高の出世頭だ。
たとえ世界から無視され、蔑まれ、不用の烙印を押されようとも、引きこもりが世界に向けて抗い、唾を吐き、心の叫びを表現すること、それがザ・スミスの音楽の本質でもあると思う。
映画のラストシーンはそんなモリッシーが、友人の紹介でたまたま知り合った、音楽の趣味で意気投合した若者、ジョニー・マーの家に自ら出向いてインターホンを鳴らすところで終わる。
引きこもり野郎が初めて心を開ける相手を見つけた、感動的なラストシーンだ。
続編作ってくれないかなぁ。
(Goro)