
【90年代ロックの快楽】
U2
The Fly (1991)
U2
The Fly (1991)
あの熱狂の1991年の10月、アルバム『アクトン・ベイビー』に先駆けてリリースされた先行シングルだった。
それは、『ヨシュア・トゥリー』以来4年ぶりのオリジナル・アルバムを待っていたわれわれの期待を、想像もしなかったやり方で裏切ったものだ。
「まさか!」と思ったものだ。
「なんじゃこりゃ!」と思ったものだ。
いったい4年の間にU2に何が起こったのか、と思わせるほどの変貌を遂げた姿だった。
近未来風の、インダストリアルな質感のサウンド、ファンキーなダンス・ビート、ラウドなギター、ファルセットヴォイス。ボノはこれを「4人の男がヨシュア・トゥリーを切り倒す音」と表現した。
唖然とするほどに、クールだった。カッコ良すぎた。
この曲も1991年を象徴する1曲だ。あの頃は楽しかったなあ。
時代が変わっていくのを肌で感じて、ゾクゾクしていたものだ。
そして、この1ヶ月後に届けられたU2の7thアルバム『アクトン・ベイビー』は、われわれの期待を遥かに超えた、「突き抜けたU2」を披露してみせた、卒倒するほどの大傑作だった。
U2 – The Fly (Official Music Video)
(Goro)