ブルースとヒップ・ホップの融合 〜Gラヴ&スペシャル・ソース『Gラヴ&スペシャル・ソース』(1994)【最強ロック名盤500】#351

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【最強ロック名盤500】#351
G Love and Special Sauce
“G Love and Special Sauce” (1994)

レコードに針を下ろした瞬間に飛び出してきた、カラッカラに乾いたドラムの刺激的な音、重量感がすごいアップライト・ベースのぶっとい音、キレのいいハーモニカ、ブルースともラップともつかない不思議な歌声、ロックなのかヒップ・ホップなのかブルースなのかよくわからない、新鮮な驚きと共に惹き込まれたアルバムだった。

時代から言ってもCDで聴いたに決まってるのに、冒頭から「レコードに針を‥」なんてつい嘘を書いてしまったが、そのアコースティックなサウンドのレトロな世界には、レコードと言いたい気持ちはわかっていただけると思う。

米フィラデルフィア出身のGラヴ(Vo&G)はもともと路上パフォーマーだったが、免許なしでの演奏は違法とされていたため、路上パフォーマーの免許が取得できるボストンへ移住する。

ボストンのバーで演奏していたGラヴとドラマーのジェフリー・クレメンスが知り合って二人で演奏するようになり、数ヶ月後にベーシストのジム・プレスコットも加入した。1993年のことだ。そして3人は、マサチューセッツ州の有名パブの専属バンドとして活動した。

本作は1994年5月にリリースされた彼らの1stアルバムである。

【オリジナルCD収録曲】

1 The Things That I Used To Do
2 Blues Music
3 Garbage Man
4 Eyes Have Miles
5 Baby’s Got Sauce
6 Rhyme for the Summertime
7 Cold Beverage
8 Fatman
9 This Ain’t Living
10 Walk To Slide
11 Shooting Hoops
12 Some Peoples Like That
13 Town To Town
14 I Love You

1994年という年は、グランジ・ブームの終焉の年であると同時に、新しいスタイルのロックが脚光を浴び、その新鮮さを競い合い、注目を集めた年でもあった。

ブルースとヒップ・ホップの融合というスタイルは、ひと足さきにベックがやって支持されてはいたが、Gラヴ&スペシャル・ソースのスタイルは、ヒップ・ホップを取り入れながらも、本来のヒップ・ホップのスタイルとは真逆の、生楽器の生演奏であることを強調してみせたところが面白かった。

もしもこれが打ち込みやサンプリングを使ったものであったら、ロック・ファンは見向きもしなかったであろう。わたしもたぶん、興味を惹かれなかったと思う。多くのロック・ファンがヒップ・ホップをつまらなく感じるのは、ラップが嫌いというよりは、楽器の演奏をしないからだと思う。少なくともわたしはそうだ。

Gラヴが自ら「ラップではなく、ラグモップ」と呼ぶスタイルも独創的ではあるが、アップライト・ベースとドラムによる躍動感あふれる力強い演奏がロック・ファンの耳を捉え、心を躍らせたことは間違いないだろう。

アルバムはチャート入りは果たせなかったものの、カレッジ・ラジオなどで人気を博し、最終的には50万枚を超えるセールスを記録し、商業的にも成功した。その成功の要因のひとつには、シンプルなモノクロで統一した、ジャケット写真やPVのカッコ良さがあったことも間違いないだろう。

↓ アルバムのオープニングを飾る衝撃的な「The Things That I Used To Do」。

↓ MTVとカレッジ・ラジオで頻繁にオン・エアされた1stシングル「Cold Beverage」。

(Goro)

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