ダイアー・ストレイツ/悲しきサルタン (1978)

Dire Straits – Sultans Of Swing – Vinyl (7", Single, 45 RPM), 1978 [r5388653] | Discogs

【70年代ロックの名曲】
Dire Straits
Sultans of Swing (1978)

イギリスのバンド、ダイアー・ストレイツは1978年にこの曲でデビューし、全米4位、全英8位といういきなりの大ヒットとなった。

1978年なんてイギリスではパンク~ニューウェイヴの真っ盛りなのに、そんな流行と全然関係ない音楽をやるバンドでデビューするなんてすごい勇気だ。

いや、そうじゃないか。

流行と関係ない、ただ自分が好きな音楽をやってるアーティストのほうがいつの世も多いはずだけれども、その中から流行に乗っかれそうな奴だけをレコード会社が探し出して売り出しているだけのことなのだ、本当のところは。

だから「すごい勇気」なのは、ぜんぜん流行に乗っていないダイアー・ストレイツと契約した、レコード会社の担当者のほうなのだ。

きっと名前も知られることのないただの会社員なのだろうけど、そういう「本物」を聴き分けられる耳を持つスーパー会社員がいるおかげで、音楽の世界は豊かになっていくのだろう。

わたしも会社員時代が長かったのでどうしてもそんなふうにビジネスのことを考えてしまうのだけれども、ロック界を活気づけるような素晴らしいアーティストが最近はなかなか出てこないことを思うと、レコード会社の社員たちよ、がんばってくれ、などとエールを送りたくもなってしまう。

このダイアー・ストレイツのフロントマン、マーク・ノップラーは、デビュー時29歳だった。パンクの連中より世代が少し上なのだ。

ある日、彼がロンドンのパブで無名のバンドの演奏を観た際、そのバンドが演奏終了時に「We are the Sultans of Swing(俺たちがスウィングの王者だ)」と名乗った。その場違いな滑稽さと哀愁が印象的だったことから、曲の着想となったという。

それにしてもカッコいい曲だ。

聴けばすぐにわかるけれども、歌い方がまるっきりボブ・ディランである。だいぶ影響を受けているようだ。ピックなしで器用に弾くギターも素晴らしい。

ピックなしだからなのか、ストラトキャスターの音色がまた歯切れが良いうえに艶やかで、気持ち良いのだ。

(Goro)