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Curtis Mayfield
“Superfly” (1972)
「スーパーフライ」と言ったら、わたしより若い日本国民はあの女性ヴォーカルを思い出すだろうが、わたしにとってはカーティス・メイフィールドだ。
ちなみに、女性ヴォーカルのほうのSuperflyというユニット名も、このアルバムから取ったものらしい。
カーティス・メイフィールドのソロ4作目にあたるアルバム『スーパーフライ』は、1972年公開の映画、ニューヨーク・ハーレムを舞台に麻薬ディーラーを主人公にしたブラック・ムービー『スーパーフライ』のサウンドトラックとして制作された。
サウンドトラックと言っても名曲揃いで、何曲かのヒット曲も生まれ、アルバムは全米1位となった。カーティス・メイフィールドの代表作であり、最高傑作でもある。
当時で言う〈ニュー・ソウル〉の代表格でもあるけれども、そんな単純な言葉ぐらいじゃ収まりきらない、ソウルをさらに進化させてファンクの草分けとなり、ロック的なグルーヴやスピード感、アグレッシヴなカッコよさも備えて、まさに独創的な音楽を生み出している。
サウンド・トラックというより、コンセプト・アルバムといった方がしっくりくる。それぐらい内容が充実しているし、一瞬たりとも退屈しない。
【オリジナルLP収録曲】
SIDE A
1 Little Child Runnin’ Wild
2 Pusherman
3 Freddie’s Dead
4 Junkie Chase (Instrumental)
SIDE B
1 Give Me Your Love (Love Song)
2 Eddie You Should Know Better
3 No Thing on Me (Cocaine Song)
4 Think (Instrumental)
5 Superfly
街中で何かが起ころうとしているスリリングな場面を描いたオープニング・トラック「Little Child Runnin’ Wild」のキレのいいストリングスと力強いベース、ファンキーなビートのドラマティックなカッコよさに開始早々からワクワクさせられる。
そして、これもストリングスのアレンジが美しく、フルートが耳に残る「Freddie’s Dead」はシングル・カットされ、全米4位の大ヒットとなった。さらにラストの軽快な「Superfly」もシングル・カットされ、こちらも全米8位のヒットとなった。
バンドもホーンもストリングスも一切の無駄のない完璧なアレンジ、それらが一体となった、タイトでキレッキレの演奏に、わたしはシビれたり悶絶したりしてしまうのだ。
そして偉大な人格者でもあるカーティス先生は、映画の中ではななんだかカッコよく扱われているフシのあるドラッグを、ちゃんと歌の中では批判している。さすがだ。
ソウル・ファンはもちろん古典的名盤として御存知に違いないが、彼らだけに聴かせておくのはいくらなんでももったいない。特にロック・ファンにこそお薦めしたい名盤である。
↓ オープニングを飾るドラマティックでキレッキレの「Little Child Runnin’ Wild」。
↓ 全米4位の大ヒットとなった「Freddie’s Dead」。
(Goro)