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ABBA
“Gold” (1992)
1978年の1月にTBSで『ザ・ベストテン』が始まった。久米宏と黒柳徹子が司会のあの番組だ。わたしは小学校5年生で、その第1回目から毎週見ていた。
第1回の放送は忘れもしない、ピンクレディーの「UFO」が1位で、わたしのお目当てだった沢田研二の「憎みきれないろくでなし」は6位だった。
わたしはこの番組を毎週欠かさず見て、その順位を毎週ノートにつけていた。そして書きつけた歌を口づさみながら、自分なりの順位もつけていた。
それがわたしが音楽好きになった原点だった。わたしはいきなりロックから聴き始めたわけではなく、最初はやはり歌謡曲に夢中になったのだ。
そのザ・ベストテンに翌年、「今週のスポットライト」のコーナーにアバが出演したのだ。
「ダンシング・クイーン」を披露したが(もちろん口パクで)、もうその翌日にはわれわれの学級にもアバのファンが発生していた。あの頃の少年少女たちに対するザ・ベストテンの影響力とは、それはもう凄まじかったのである。
わたしが密かに好きだった女の子も、それをきっかけにアバに夢中になっていた。そんな下心のアレで聴いたのだったかどうかは忘れたけれども、家にレコードプレーヤーがなかったわたしもアバの『グレイテスト・ヒッツ Vol.2』をカセットテープで購入し、気に入って繰り返し繰り返し聴いたことを覚えている。今あらためて気づいたが、わたしが初めて買った洋楽のアルバムはたぶん、それである。
その後、アバを好きだった女の子にもフラれ、さらに数年後には、わたしは真っ当な人の道を踏み外してロック好きになってしまったので、すっかり人も変わり「アバなんて。けっ」てな感じで、聴き返すこともなくなっていた。
それから数十年が経った1992年、BSの番組で放送されたイギリスのレディング・フェスティヴァルを見ていたら(お目当てはニルヴァーナやスマッシング・パンプキンズだったのだけれども)、衣装や振付までバッチリきめたアバのコピー・バンドが出てきて「ウォルタールー」「マネー・マネー・マネー」「ダンシング・クイーン」を披露したのだ。
久しぶりに聴いて、なんて凄い曲なんだろうと息を呑むほどの思いだった。
「ダンシング・クイーン」の、観客を一瞬で一体にしてしまうイントロから鳥肌が立つようで、キャッチーでドラマチックなメロディー、美しいハーモニー、素晴らしいアレンジ、完璧な曲としか言いようがない、と思った。
当時のわたしはニルヴァーナのように、ラウドなだけでなくフックのある歌メロを持ったものを探していたのだけれども、なんだ、それだったらこんなところにいくらでもあったじゃないか、と思ったものだった。実際、カート・コバーンも「俺たちの音楽は、ブラック・サバスとアバを融合させたようなものだ」と語っていたものだ。
わたしが好きなのはロックだけじゃないなあ、とそのときに思ったものだ。そもそもわたしの原点は『ザ・ベストテン』であり、歌謡曲だったのだ。以来わたしは、11歳の頃の原点に還って、ロックに限らず、なんでも聴こうと心がけている。
1989年、アバの楽曲の権利を持っていたスウェーデンのレコード会社、ポーラー・ミュージックをポリグラムが買収した。
ポリグラムはアバのオリジナル・アルバムは継続して販売したが、世界各国のレコード会社がライセンス契約で出していた数々のベスト盤はすべて廃盤とした。そしてあらためて、全世界共通の唯一のベスト盤として本作を1992年9月にリリースしたのである。
【オリジナルCD収録曲】
1 ダンシング・クイーン
2 ノウイング・ミー、ノウイング・ユー
3 テイク・ア・チャンス
4 マンマ・ミーア
5 レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー
6 スーパー・トゥルーパー
7 アイ・ハヴ・ア・ドリーム
8 ザ・ウィナー
9 マネー、マネー、マネー
10 SOS
11 チキチータ
12 悲しきフェルナンド
13 ヴーレ・ヴー
14 ギミー!ギミー!ギミー!
15 ダズ・ユア・マザー・ノウ
16 ワン・オブ・アス
17 きらめきの序曲
18 サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
19 恋のウォータールー
ベスト盤として完璧な選曲と言える、彼らの代表曲、ヒット曲、名曲がパンパンに詰まった本作は、全米1位、全英1位など、15カ国でアルバム・チャートの1位を獲得し、3,200万枚を超えるメガ・セールスを記録した。
アバを初めて聴くなら、まずこれを聴いておけば間違いない。
↓ 1976年8月にシングルとしてリリースし、世界各国で1位を獲得、アバの代表曲となった「ダンシング・クイーン」。わたしが最初に好きになった曲だが、今でもアバで一番好きな曲だ。
↓ 全英2位、欧州各国で1位を獲得した「チキチータ」。アバはディスコ・ナンバーだけではなく、ドラマチックなバラードの名曲も多い。
(Goro)


