ニルヴァーナ/リチウム (1991)

Lithium (Nirvana song) - Wikipedia

【90年代ロックの快楽】
Nirvana
Lithium (1991)

『ネヴァーマインド』からの3rdシングル。これもまた大好きな曲だ。

この曲には、カッコ良さだけではない、カッコ悪さとせつなさと心強さとユーモアを感じる。

ヴァースのメロディなんて、ちょっと昭和歌謡みたいだ。たとえば甲斐バンドみたいな。ああ、きっと甲斐よしひろがあのコブシを回してこの歌を歌ったら似合ったに違いない。

カート自身の解説によれば、この歌はガールフレンドを亡くした男の歌なのだそうだ。男は自分が自殺してしまわないよう、宗教に救いを求める、という内容らしい。タイトルの「リチウム」とは、鬱病患者などに処方される薬で、気分を安定させ、自殺を防ぐ効果があるらしい。

そう言われても、正直よくわからない歌詞だ。

それでもこのメロディのせいで、グッときてしまう。

今日はとてもハッピーだ
おれは友達を見つけたから
そいつらはおれの頭の中にいたんだ
おれは救いようのないバカだ
洗面所の鏡で自分の顔を見たとき
思わず鏡をぶん殴って壊しちまった

(written by Kurt Cobain)

ああ、思い出すなあ。

あの頃の若いわたしのグツグツと煮えたぎるようなフラストレーションを。

わけもなくイライラして、わけもなくくよくよして。

人とに会えばもじもじして、心はいつもゆらゆらして。

この歌にはそんなフラストレーションを、木っ端微塵に吹っ飛ばすような、暴力的な爽快感があった。

今のわたしはもちろん当時とは全然違うけれども、でも完全には無くなっていないなあ、あのフラストレーションは。もう、いいオッサンのくせに。

こういうのは一生、火種みたいにチロチロと点いたままでいるのだろうか。

いやだなあ、もう。

(Goro)