ヘヴィでダークなロック・オペラ 〜マイ・ケミカル・ロマンス『ザ・ブラック・パレード』(2006)【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#418

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【わたしが選ぶ!ロック名盤500】#418
My Chemical Romance
“The Black Parade” (2006)

マイ・ケミカル・ロマンスは、米ニュージャージー州出身のバンドだ。2002年にデビューし、当初はいわゆる「エモ」というジャンルにぶち込まれていたけれども、3rdアルバムである本作の発表によって、そんな小さな同好会みたいなところに閉じ込めておくわけにいかないバンドだということが世界に知れ渡った。

わたしは未だに「エモ」という定義がよくわからずにいるが、よく言われるようにウィーザーの『ピンカートン』やジミー・イート・ワールドの『ブリード・アメリカン』がそのはしりだとするなら、本作は似ても似つかないものだ。

ロック・オペラ的な体裁をとっている本作を聴きながらわたしの記憶野に真っ先に浮かび上がったのはミート・ローフの『地獄のロックライダー』だったが、しかしよく聴いていると、次々にクイーンが、ザ・フーが、アイアン・メイデンが、デヴィッド・ボウイが、ピンク・フロイドが、キュアーがと、どちらかというとイギリス的な成分が多めに聴こえてくる印象がある。

プロデューサーを務めたのは、遡ること2年前に世界的な賞賛を浴びたロック・オペラ、グリーン・デイの『アメリカン・イディオット』を手がけたロブ・カヴァロだ。当然ながらグリーン・デイのあの傑作をはじめから意識していたのだろうけれども、しかし決して真似たというわけではない。そもそもマイ・ケミカル・ロマンスは1stも2ndもコンセプト・アルバムだったのだ。

【オリジナルCD収録曲】

1 ジ・エンド
2 デッド!
3 ディス・イズ・ハウ・アイ・ディスアピア
4 ザ・シャーペスト・ライヴズ
5 ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード
6 アイ・ドント・ラヴ・ユー
7 ハウス・オブ・ウルヴズ
8 キャンサー
9 ママ
10 スリープ
11 ティーンエイジャーズ
12 ディスエンチャンテッド
13 フェイマス・ラスト・ワーズ

物語の主人公は、癌を患い余命幾ばくもない男だ。やがて彼に死が訪れたとき、彼のもとに、幼い頃に父親に連れられて見たパレードの姿をした死神「ザ・ブラック・パレード」が迎えにやってきた。

アルバムは心電図の音から始まる臨終からスタートし、生への執着、過去の過ちや後悔、愛する人との別れ、そして死を受け入れて旅立つまでの過酷な感情の旅がハードでドラマチックな音楽と共に描かれている。

パンク・ロックの疾走感があり、ヘヴィ・ロックの音圧と重量感があり、そしてグラム・ロックのようにキャッチーでもある、簡単にジャンル分けすることが難しい、総合的なロックとしか言いようのない音楽だ。

アルバムは全米2位、全英2位、日本でもオリコン総合10位と、世界的なヒットとなった。

 

↓ 全英1位、全米9位の大ヒットとなった代表曲「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」のようにドラマチックに展開する曲で、MVでは「ザ・ブラック・パレード」という架空のバンドとして全員が黒い軍服風の衣装を纏っている。

↓ アルバムのクライマックスを飾る「フェイマス・ラスト・ワーズ」。MVの撮影ではドラマーが激しく燃えた炎で重度の火傷を負い、ヴォーカルのジェラルドはベーシストに倒れ込まれて足首の靱帯を損傷するという事故の映像もそのまま使用されている。

(Goro)